研究課題/領域番号 |
18K18898
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大崎 純 京都大学, 工学研究科, 教授 (40176855)
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研究分担者 |
寒野 善博 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (10378812)
木村 俊明 京都大学, 工学研究科, 助教 (60816057)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 機械学習 / 強化学習 / 建築骨組 / 構造設計 / 最適化 |
研究実績の概要 |
1.機械学習を利用した鋼構造物の最適設計法の基盤技術として,本年度はまず,鋼構造物の応答を予測するデータ駆動型の手法を開発した。具体的には,ロバスト回帰やノンパラメトリック回帰という機械学習の手法によって材料実験のデータを学習することで,鋼構造物の静的な応答量を予測する手法である。次に,機械学習の分野で多用されている交互方向乗数法を応用し,単一の部材断面をもつ鋼構造物の最適設計法に対して,大規模な問題でも小さい計算コストで質の良い解を得ることのできる手法を開発した。 2.整形な鋼構造平面建築骨組に対して,KブレースとVブレースの配置をランダムに発生させ,優良解と非優良解での配置の特徴を学習した。評価指標には,静的地震荷重が作用したときの部材端の応力あるいはコンプライアンス(ひずみエネルギー)とし,学習にはサポートベクターマシン(SVM)を用いた。また,多数の特徴量の中から寄与度の大きい特徴量を抽出するアルゴリズムを提案した。さらに,小規模の骨組での学習結果を大規模の骨組の優良解の判別に適用するための,LASSOを用いた方法を提案した。 3.骨組構造の梁と柱の断面を逐次改良によって解く過程を,マルコフ決定過程としてモデル化し,最適方策を強化学習の手法の一つであるQ学習を用いて求めた。その結果を用いることによって,焼きなまし法によって骨組を最適化する過程を加速し,最適解の精度を向上できることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機械学習による発見的最適化の性能向上については,小規模骨組の学習結果の大規模骨組への適用も含めて,当初の計画以上の成果が得られている。 構造設計過程の強化学習によるモデル化については,重層構造の建築骨組については,予定通りの成果が得られ,Deep-Q-Learningを用いるなど,当初の予定していなかった成果も得られている。しかし,空間骨組への適用は進んでいない。 機械学習の基礎技術の提案についても,概ね計画通りの成果が得られているが,SVMにはMatlabのToolboxを用いており,そのアルゴリズムの改良は未着手である。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は,成果の公表と,より現実的な問題への適用にむけて研究を進める予定である。 一般的な手法の提案を主な目的とするため,空間構造への適用については,優先順位を下げることも考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に計上していたソフトウェアライセンス使用料金を,研究の進展の関係から平成31年度に使用することとした。 また,東京大学で購入予定であったコンピュータについても平成31年度に使用する予定である。
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