研究課題/領域番号 |
18K18901
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
三島 伸雄 佐賀大学, 理工学部, 教授 (60281200)
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研究分担者 |
和久屋 寛 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (40264147)
中山 功一 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (50418498)
上田 俊 佐賀大学, 理工学部, 助教 (40733762)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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キーワード | 歴史的町並み / 滞在観光 / 有機的民泊事業 / マッチングシステム / 実装実験 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、滞在型観光に対する受け入れ基盤の弱い歴史的町並み(以下、基盤の弱い町並み)を対象とし、人工知能を用いた有機的民泊事業支援システム(以下、支援システム)をモデル的に開発し、必要なデータや支援システムのあり方を明らかにすることである。特に、受け入れ基盤の弱い町並みにおいては、通常のホテルとは異なり、建物毎の部屋の環境も異なり、部屋数も十分でなく、同じグループを同じ建物内に同様に収容できるかもわからない。設備の充実度も異なり、多様化する宿泊者ニーズに答えることができるかどうかも不明である。さらに、地域の振興のためには地元住民らによる滞在型観光サービスへの手伝い者(以下、手伝い者)が必要であるが、高齢化も進むなかでえて得意不得意や業務時間を考慮した適切かつ有効なマッチングも期待される。それらがまとまってこそ、地域全体がホテルとなった受け入れ体制が構築できる。本研究では、その支援システムの基盤となる部分に関する構築とそのモニタリングに取り組んだ。 システムの構築については、大きく2つに分けた。本来は、滞在観光者ニーズ、宿・部屋割り、手伝い者の3者同時マッチングができると最もよいが、3者マッチングの数学的アルゴリズムの開発は研究チームでまだ開発途上であるため、研究チームメンバーが開発した2者マッチングシステムによって、滞在観光者ニーズ対宿・部屋割り、滞在観光者ニーズ対手伝い者を行うことにした。本研究では、具体的には佐賀県鹿島市肥前浜宿(以下、肥前浜宿)を対象として実験的なマッチング・サイトを開発し、株式会社肥前浜宿まちづくり公社(以下、公社)での実装実験に取り組んだ。しかしながら、コロナ禍で、宿泊施設の当面休業、滞在観光者の激減に対する公社運営体制の変化、調査に対する地域住民の難色などがあり、現時点では実験が難航している。令和3年度に延長して研究を継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
支援システムの開発は概ねできたが、研究モデル地である肥前浜宿において、コロナ禍による大打撃で観光客が激減し、イベントの開催もできず、住民も調査に対して慎重になり、実装実験を行うことがほとんどできなかった。そのため、データを得ることがほとんどできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後まず、令和2年度に公社に対してヒアリングできたこと等を踏まえて、システムの修正を行う。具体的には、入力のしやすさの改善や図や文字の見やすさなどである。次に、地域の受け入れ状況が整い次第、実装実験を始める。高齢者が多い地区なので、調査に入るのに慎重にならざるを得ないが、今後のコロナ禍の状況を見ながら、遅くともオリンピック開催頃に実装を行い、9月頃からデータを収集して分析を行う予定である。なお、公社の運営体制が変わったことにより調査がうまく行かない時には、他の自治体で関心を寄せているところがあるので(佐賀県多久市など)、それらの自治体でデータを収集することも検討する(その場合は、令和3年度では終わらない可能性もある)。 一方で、現時点までに進んでいることをベースに、国際会議論文や査読付き学術論文等に投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で、研究モデル地である佐賀県鹿島市肥前浜宿における滞在観光事業及び調査(実装実験等)が大きな影響を受けた。すなわち、緊急事態宣言等に伴う当該地域における事業実施の休止・中止、それに伴う宿泊事業を行なっている公社の運営体制の変更、大学における教育・研究活動の一時停止等が重なり、研究計画を大幅に見直さざるを得なかった。そのため、研究遂行が遅延し、次年度使用額が生じた。 使用計画としては、まずは明らかになっている支援システムの問題点の改善を早急に行なった上で、肥前浜宿における支援システムの実装を行う。次に、公社の体制が整って、滞在観光者や調査チームの受け入れが可能になり次第、実装に対するモニタリングを行う。そして、受け入れ基盤の弱い町並みにおける滞在型観光に対する支援システムの有効性を明らかにする。
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