研究実績の概要 |
本研究は、滞在型観光に対する受け入れ基盤の弱い歴史的町並みを対象とし、人工知能を用いた有機的民泊事業支援システム(以下、支援システム)をモデル的に開発し、必要なデータや支援システムのあり方を明らかにすることである。すなわち、例えば、宿泊客の客層(団体・家族・個人、年齢層等)と数、ニーズ、各棟年間180日以内で用意できる建物(公民館など通常民泊に使わない建物も含む)等に対して、有機的に必要とされる体制やサービス内容(地区外の温泉等の利用や地区住民の応援体制を含む)及び料金(客層やニーズに応じた金額)等の柔軟な最適解を提示できる支援システムである。 このシステムは、基本的には、最小定員と能力を踏まえた学校選択マッチング(公平で合理的に最適な行動選択を追求でき、AIにより処理速度が向上されている。N.Hamada, S. Ueda, et.al, 2017)を用いて、その概ね形の整った入力サイトの運用テストを行っている。また、現在は2者マッチングの組合せであるが、それを観光客のニーズ、宿泊施設、そしてその手伝い者の3者マッチングを行うためのシステムへの転換への理論的検討を行っているところである(安定三面マッチング問題)。これらを実施することにより、地域一体型滞在交流観光支援システムの最適化に必要な項目とその重み付けの問題を解くことができる。そして、受け入れ基盤の弱い歴史的町並みにおける地域一体型の交流観光に対して、ICT活用型まちづくりの方法論に貢献することができる。
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