研究課題/領域番号 |
18K18908
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
浅井 健彦 筑波大学, システム情報系, 助教 (90775793)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
|
キーワード | 波力発電装置 / 同調回転慣性質量機構 |
研究実績の概要 |
近年、建築・土木構造分野において地震動を受け、振動する構造物の振動エネルギーを効率的に吸収出来る制振装置として注目を集めている同調回転慣性質量機構を波力発電装置に応用し、従来の装置と比較して大きく発電効率を向上させることが可能となる波力発電装置を提案した。同調回転慣性質量機構は回転慣性質量効果を利用することで比較的小さい質量で大きな慣性質量効果を発生させ、その慣性質量をバネを介して振動する浮体と接続する。適切に慣性質量値とバネ定数を設定することで共振効果を発生させ、モーターの回転効率を大きく向上させることが可能となる。 平成30年度は提案する装置のモデルを作成し、波力解析ソフトウェアWAMITを用いた数値解析シミュレーションを行い、提案する機構を持った装置の有効性を検証した。そして、提案する機構により従来の装置と比較し、より広範囲な波周期において発電効率を向上させることが可能となることを確認した。 また、提案する装置の縮小型の模型を作成し、筑波大学アイソトープ環境動態研究センターが保有する二次元造波水路を用いた水槽実験も行い、装置の有効性を実証した。ここでは浮体そのものが波の卓越周期と共振する場合としない場合の二通りの浮体を作成し、実験を行った。両方の場合において提案する機構を用いることで、従来の波力発電装置と比較し、発電効率を飛躍的に向上させることが出来ることを実験により確認することが出来た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に想定外のトラブルもほとんど発生しなかったため、当初の予定通り進展している。学内の二次元造波水路を無償で使用出来たため、水槽実験も計画通りに実施出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
今後はフィードバック制御技術を用いて発電用モーターに流れる電流を制御することで発電効率のさらなる向上を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に行った実験で用いた試験体は以前に作成していた試験体の資材を再利用し研究代表者や共同研究者である学生、大学技術職員らによりコストをかけずに作成することが出来たため、必要経費を節約することが出来た。 令和元年度は平成30年度に得られた成果を国際会議において発表するための旅費や実験試験体を新たに作成する物品費として使用する計画である。
|