研究実績の概要 |
本研究は,Uberに代表されるモビリティ・サービス事業と自動運転車が融合した Shared Autonomous Vehicles (SAVs) の普及を想定した上で,渋滞を発生させない道路交通システムを設計するための基本的な枠組と理論を提供することを目的としている. 本年度は,2018年度研究で提案したSAV普及下でのシステム設計の枠組(従来の道路システムに加え,1)ネットワーク通行権取引(TNP)市場,2)モビリティ・サービス(MS)市場,からなる新たな制度)をより具体化したシステム・モデルを構築し,各種シナリオ・条件下で生じる状態を解析した.より具体的には,2018年度に分析したMS市場とTNP市場のみのモデルに加え,個人所有車(PV)が混在する状況の短期均衡および長期均衡をモデル化し,その均衡状態の特性を明らかにした.また,その解析結果に基づき,長期均衡におけるシステムの改善政策(最適な投資戦略)を明らかにした. また,MS/TNP市場のマイクロ・メカニズム設計に関しては,研究計画で予定していた配分メカニズムでは,scalability の観点で課題が残ることが明らかとなった.その課題に対処するため,新たなマッチング・モデルの定式化と解析に取り組み,大規模問題にも適用可能な効率的解法を開発した.
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