研究課題/領域番号 |
18K18919
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山上 路生 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80362458)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 水害防備林 / エネルギー減衰 |
研究実績の概要 |
本研究では,環境面にも有利な数ある伝統工法の一つとして知られる水害防備林に注目し,洪水エネルギーの減衰効果を定量的に評価し,防備林を積極活用するために必要な最適な配置整備デザインの科学指標を提案する.特に直感と経験則に依存する現状をブレークスルーして科学的知見に基づくアクティブな防備林整備につなげることを最終目標とする. 我が国では古くから,堤防の浸食破壊の防止,洪水流の抑制および流木補足等の目的で竹や柳を低水河道に沿って植樹してきた.このような河川樹林帯は平水時においても,水質保全,生物空間の創出,水域のランドスケープの演出など,人工的な河川構造物にはない,大変魅力的なメリットがある.しかしながら,このような樹木群を過ぎる流れの水理特性やエネルギー低減効果,さらには樹木林背後の堤防浸食の防止機構に関する科学的データや知見はほとんどない.これら防備林の整備や計画は経験則に頼るのが現状である.さらに全国各地に現存する水害防備林が実際の洪水時に具体的にどのような減災機能を発揮しているのか詳細なデータはほとんどない.これを打破すべく流体力学・水理学的な理論解析と実験水理手法の双方より研究推進する.特に樹木群の配置パターンを系統変化させて,氾濫流減衰や堤防浸食防止との関係を定量評価する. 研究初年度では,まず模型実験の環境整備に力を入れた.構造物をよぎる流れは、高速・低速域が混在する流速差が非常に大きな流れ場である.このため画像計測による流速計測を行う際,相関解析のパラメータ調整、光学系の調整に時間を要する.そこで仮の模型実験システムにおいて,予備計測を行い画像解析の最適な条件設定を行った.これにより次年度の本計測がスムーズに行われる.同時に群体抗力に関する文献と実在の水害防備林を調査して,樹木模型の仮制作と配置パターンの選定を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本実験の準備および水理条件選定において、情報収集、現地調査、予備実験は非常に重要で、初年度は、計画通り、これらのタスクを遂行できた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、本実験を実施する。得られた結果に、理論的考察を加えて、減衰効果の高い防備林の提案という、プロジェクトの根幹は揺るがない。 具体的には次の研究を遂行する。現有の1.5m幅の広幅水路に主流部,高水敷および堤防模型を設置する.高水敷には防備林モデルを複数配置する.水位をあげ高水氾濫が生じたときの堤防にかかるせん断力および直応力を計測する.さらに防備林による流れ構造の変化を画像流速計(PIV)によって計測する.得られた結果より防備林の複数配置パターンと応力特性の関係を定量的に求めるとともに,洪水流のエネルギー減衰機構を科学的に解明する.実験結果と比較しながら,防備林の減災機能を定量評価するための解析モデルを構築する. 樹木密生度が大きいと減衰効果は増大する反面,主流の抵抗増加および水深増加につながるため,最終的にはこれらのバランスを考慮しうる最適な配置密度の科学指標を構築する.
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次年度使用額が生じた理由 |
本実験で使用するPIVシステムに必要な備品・消耗品をリストアップすべく予備実験を行ったが、予備実験に時間を要したことと、所属組織の年度替わりの時期と重なったために、初年度の導入を見送らざるを得なかったため。
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