研究課題/領域番号 |
18K18927
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
別府 万寿博 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 教授 (90532797)
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研究分担者 |
甲賀 誠 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 教授 (30545976)
市野 宏嘉 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 准教授 (70760982)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 爆発 / 緩衝効果 / アルミハニカム / 耐衝撃設計法 |
研究実績の概要 |
本研究課題は爆破テロのように構造物に対して比較的近い位置で爆発する現象(近接爆発)を対象として,構造物の耐爆設計法を提案するものである.特に,構造物に作用する爆発荷重を低減させる緩衝システムについて検討を行う. 本年度はアルミハニカムに着目して,爆発実験に用いるハニカムの選定およびComposition C-4(C4)爆薬を用いた近接実験を行い,アルミハニカムをベースとしたアルミハニカム複合構造(ハニカム複合構造)の緩衝効果について検討を行った.アルミハニカムはアルミニウム製であり,正六角形または正六角柱のセルを隙間なく並べた構造となっている.研究で用いるセルの大きさを選定するため,見かけの密度を変化させた複数の材料を用いてアルミハニカムの座屈強度を調べた.実験では,静的な圧縮試験に加えて動的な圧縮試験も行った.実験の結果,一般的なアルミハニカムにおいては,載荷速度の増加による座屈強度の増加(ひずみ速度効果)は認められなかった.次に,C4爆薬を用いて,アルミハニカム複合構造に対する近接爆発実験を行った.ハニカム複合構造は,アルミハニカムのコアの上下にシートを設置したものである.下部シートは0.5mmのアルミニウムシートとし,上部シートには厚さ5mmのアルミニウムシートに加え,ガラス繊維を用いた2種類のFRPシートを用いた.すなわち,合計3種類のハニカム複合構造を作製した.実験では,アルミハニカム複合構造のみに対する爆発実験とコンクリートや鋼板上にハニカム複合構造を設置して緩衝効果を確認する実験を行った.実験の結果,上部シートとしては,アルミニウムシートを用いたハニカム複合構造が最も緩衝効果が高いことがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,爆発に対する緩衝材としてアルミハニカムに着目するとともに,緩衝効果を発揮するための前提となる構造要因について検討を行った.耐爆緩衝性能を有する緩衝材を開発するためには,爆発作用の大きさに対して適切な複合構造を選定する必要がある.このため,本研究課題では,実験条件に対して,緩衝効果を発揮しうる材料や構造の選定が極めて重要となる.今年度は,ハニカムの基礎的緩衝特性を把握するとともにこれらの実験および構造条件をある程度確定できたため,研究計画に沿って進展していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては,緩衝効果をより高めるために,高強度の上部シートおよびハニカムコアの組み合わせを検討する.また,近接爆発実験の数値シミュレーションやハニカム複合構造の緩衝効果を定量的に評価する理論モデルの検討を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では,今年度に圧力センサーを購入して緩衝材等の緩衝効果を確認する実験を行う予定であったが,ハニカム複合構造の選定と圧力計測を伴わない実験を行ったため,次年度使用額が発生した. 次年度は,実験,数値解析を行うための器材(火薬類防湿庫,センサー類,ハードディスク,ソフトウェア)に使用する予定である.
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