研究課題
本研究は不純物元素を用いることで、応力ヒステリシス(負荷時と除荷時、すなわち正変態時と逆変態時の応力差)が極めて小さい超弾性材料の創成を目指すものである。本年度は前年度までに準備した試料および整備した実験環境を用いて、応力誘起変態における応力ヒステリシスの測定と相変態時の内部組織観察を中心に行った。準備した試料のうち、侵入型原子(酸素および窒素)を不純物として添加した試料では明確なヒステリシスの低減が認められた。十分に超弾性挙動を有する試料において、応力誘起変態/逆変態に伴う応力差は最小で10MPa程度であった。これらの侵入型原子を含有する試料においては、変形中に一次相変態に起因するような表面起伏や格子定数の「飛び」は観察されず、二次相変態的な挙動を示しており、当初の想定通りの結果が得られたと考える。一方、SnやAlなどの置換型原子を不純物として添加した試料では予想したようなヒステリシスの低減は生じなかった。また、これらの試料では通常の一次相変態的な内部組織変化(マルテンサイトの明瞭な表面起伏の発生及び格子定数の飛び)のみが観察された。しかし、これらの試料においては時効処理によって意図しない正変態が観察された。この現象は前年度に発見した微細ドメイン組織に起因するものと考えられる。本現象を利用すれば従来利用されていないようは新たな機能性の発現につながる可能性が高く、今後のさらなる研究展開が期待される。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 16件)
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