研究課題/領域番号 |
18K18938
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
吉田 克己 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (20337710)
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研究分担者 |
Gubarevich Anna 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (40447529)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | セラミックス基繊維強化複合材料 / 界面層 / 三元系ナノ層状化合物 / 電気泳動堆積法 / 耐環境性 |
研究実績の概要 |
高信頼性耐熱材料として期待されている炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素基(SiCf/SiC)複合材料では、繊維表面に最適な界面層を形成し、最適な界面制御することが高性能な複合材料の実現の鍵となる。本研究では、従来の炭素や窒化ホウ素に代わる界面層物質として、優れた耐食性、耐熱性、耐熱衝撃性及び機械加工性等の特性を有するTi3SiC2やAl4SiC4の三元系ナノ層状炭化物に注目し、本研究グループが開発・提案した電気泳動堆積(EPD)法によるセラミックス基複合材料の新規耐環境性界面層の開発を目的とする。2019年度は、EPDに用いる三元系ナノ層状炭化物であるAl4SiC4について、水系懸濁液の調製条件及びEPD条件等を検討した。まず、EPDで用いるAl4SiC4粉末の合成プロセスについて検討した結果、燃焼合成法によりサブミクロンオーダーのAl4SiC4粉末の合成が可能であることを明らかにした。また、EPD法に用いるAl4SiC4粉末の水系懸濁液の調製条件について検討したところ、分散剤としてポリエチレンイミン(PEI)を添加し、pHを5に調整することで、良好な分散性を示すAl4SiC4粉末の水系懸濁液の調製が可能であることを明らかにした。Al4SiC4粉末のゼータ電位を測定したところ、pH=5の条件では正の値を示した。次にEPD法によりSiC繊維表面へのAl4SiC4の被覆条件の検討を行ったところ、分散剤(PEI)をAl4SiC4粉末に対して2wt%添加し、pHを5に調整したAl4SiC4水系懸濁液を用いてEPDを行うことで、SiC繊維プリフォーム外側の繊維表面に比較的均一で十分な厚さを有するAl4SiC4界面層を形成できることを明らかにした。以上の結果から、EPDに用いるAl4SiC4水系懸濁液の調製条件の目処付け及びEPD法によるAl4SiC4界面層形成条件の目処付けができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、本研究で重要となるEPD法に用いる三元系ナノ層状炭化物Al4SiC4の水系懸濁液の調製条件及びこの懸濁液を用いたEPD法によるSiC繊維表面へのAl4SiC4界面層形成手法の目処付けができていること、2018年度には三元系ナノ層状炭化物Ti3SiC2についても水系懸濁液の調製条件及びEPD法によるSiC繊維表面へのTi3SiC2界面層形成手法の目処付けができていることから、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はSiCf/SiC複合材料の界面層としてTi3SiC2やAl4SiC4の三元系ナノ層状炭化物に注目し、EPD法による界面層形成について、EPD条件(泳動電圧、電流、時間)等を検討し、EPD法による界面層形成プロセス条件の最適化を図る。また、三元系ナノ層状炭化物を界面層としたSiCf/SiC複合材料の力学特性及び耐環境性評価を行い、得られた結果をフィードバックし、EPD法による三元系ナノ層状炭化物界面層の形成プロセスの最適化を図る。また、湿式ジェットミルによる三元系ナノ層状炭化物の薄片化プロセスを検討し、緻密で均一な界面層の形成プロセスを検討する。
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