研究課題/領域番号 |
18K18941
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
邑瀬 邦明 京都大学, 工学研究科, 教授 (30283633)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 電析 / 非水溶媒 / 有機溶媒 / イオン液体 / 添加剤 |
研究実績の概要 |
本研究では、グライム溶媒からの金属電析をモデルに、非水系電析環境でめっき添加剤として機能する物質を探索し、作用機構を整理しようとしている。電解浴の粘性改善や不純物(水など)除去など、非水溶液特有の課題を解決し得る物質も研究対象に加え、現在は水系に限られている添加剤科学を非水系へと拡張し、新たな体系構築をめざしている。 本年度(平成30年度)は主として AlCl3/G2(G2:ジグライム)浴からのアルミニウム電析に関して添加剤のスクリーニングを行った。添加剤としては、電極界面と相互作用することで電析物を平滑化し得るものに加え、支持電解質として浴の導電性改善に寄与し得るものも検討した。主として検討した添加剤は、TBACl(tetrabuthylammonium chloride)、BiCl3(塩化ビスマス)、DMAHCl(dimethylamine hydrochloride)、EMICl(1-ethyl-3-methylimidazolium chloride)である。その結果、TBACl と BiCl3 には電析を抑制する効果があることがわかった。一方で、DMAHCl を添加剤として用いた場合には、電析基板(カソード)に対する電析物の被覆率が改善することがわかった。すなわち、DMAHCl は核発生の促進効果をもつことを確認した。また、DMAHCl を添加することで、比較的水分含量が多い電解液からも Al の析出が可能となることがわかった。DMAHCl は水分の影響を抑制する添加剤として使える。一方、EMICl を添加した場合、その添加量によっては Al の析出が抑制されることがわかった。これは、EMICl と G2 の間になんらかの反応もしくは相互作用があるためである。EMICl のようなイオン液体成分を支持電解質として使用しようとする場合には注意を要するといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AlCl3/G2(G2:ジグライム)浴からのアルミニウム電析に関する添加剤のスクリーニングならびに作用機構の考察を一通り終えることができたことから、「おおむね順調に進展している」と判断した。なお、添加剤を活用した平滑 Al 電析に関しても、既に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
グライム溶媒からのリチウム電析に関して、同様に添加剤のスクリーニングと作用機構の考察を行う予定である。作用機構の考察では、当初の計画通り、電気化学 QCM などを活用し、添加剤物質がかかわる電気化学反応を調べる。また、XPS などにより、電析 Li ならびにその表面(SEI など)の化学状態も解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は、グライム溶媒からのリチウム電析に関して、同様に添加剤のスクリーニングと作用機構の考察を行う予定であり、助成金の残額はそれに必要な物品費や光熱費、ならびに成果報告のための旅費として使用する予定である。
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