研究実績の概要 |
bcc型のHfNbTaTiZr合金について、平成30年度に引き続き、非等量配合の合金の変形挙動を調査したものの、現時点で弾性異常、形状記憶・超弾性効果は確認できなかった。特に、(TiZrHf)100-x(NbTa)x合金(かっこ内は等量)では、溶体化処理によりβ単相にした場合でも、引張試験を行った際に変形が局在化し、加工硬化を伴うことなく脆性的に破壊してしまうことがわかった。また、Ti, Zr, Hfを等量としない合金(例:Ti32.5Zr29Hf29Nb5Ta5)のような合金についても、マルテンサイト変態や双晶変形は全く確認できなかった。ただし、こうした合金では、室温にて高強度と高延性が両立した。 そこで、次の方策として、Hfをβ安定化元素であるVに置き換えた合金についても、追加で調査を実施している。Vを添加した合金では、鋳造ままの状態で、著しい凝固偏析が確認されたが、均質化により、微細な凝固組織を取り除くことに成功している。等量配合の場合(NbTaTiVZr)では、高温までbccの2相分離領域が広がっているため、bcc単相を得ることが困難であったが、(TiZr)100-y(NbTaV)yとし、y≦50の合金では、溶体化によりbcc単相が得られている。Vを添加した合金でも、HfNbTaTiZr系合金と同様に、bcc相の2相分離、hcp相の析出等が観察されている。このうち、hcp相の析出は室温での硬さを著しく増加させる。bcc単相に溶体化が可能であった合金組成について、曲げ試験によって、弾性異常、形状記憶・超弾性効果の有無を調査した。しかし、残念ながら、弾性率は100GPa程度で、低弾性率化などは確認されず、形状記憶・超弾性効果については、現時点で確認できなかった。
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