研究課題
本研究は、「高エネルギー転位」による、鉄鋼材料の新たな強化原理の開拓を目的とする。一般に、金属材料の強度と延性はトレードオフの関係にある。これに対して、この新たな原理では、延性を低下させずに強度を顕著に増大させることができると期待される。金属の塑性変形は、しばしば線状の結晶格子欠陥である転位の生成と移動によって担われる。したがって転位の挙動は金属のマクロな機械的性質を支配する。たとえば金属を強化するには、転位を動きにくくすればよい。フェライト系鉄鋼材料等のアルファ鉄系材料の塑性変形は、転位芯の原子変位に対応する「バーガース・ベクトル」が最小の 1/2<111> である転位によって担われることがこれまでの常識であった。これに対し本研究では、「高エネルギー転位」としてその存在が無視されてきた、バーガース・ベクトルのより大きな <100> 転位に着目する。本年度は、純鉄を対象として、<100> 転位ループを導入した試料の透過電子顕微鏡内引張実験をおこなった。その結果、<100> 転位ループと1/2<111> 転位線の相互作用過程についての知見が得られた。
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Nature Materials
巻: 19 ページ: 508-511
https://doi.org/10.1038/s41563-019-0584-0
Metals
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