研究課題
「時効の不思議を探る」ことを目的とし、(加熱)時効により発生するクラスターや析出物の微構造解析を目的とし、加熱・高傾斜TEM観察用ホルダーの開発とともに、加熱により発生した析出物やクラスターの解析を行った。代表的な研究成果として、次の3点が挙げられる。フェライト-マルテンサイト2相ステンレス鋼に熱処理を施す事により発生したコアシェル型の構造体に関する研究(Kaneko他Scripta Materialia 193 (2021) 112)、新立体構築法の開発(Baba他 Scientific Reports 10 (2020) 20146)と炭素クラスターの起源について(Maeda他Material Characterization 159 (2020) 110006)が挙げられる。また、現在、投稿準備中ではあるが、炭素鋼を低温時効することにより発生する炭素クラスターについて、その強度に及ぼす影響について最終年度に解明している。炭素の添加量によって鉄鋼材料の組織や特性が大幅に変化する。中でも、焼入れ材を低温時効することで生ずる炭素クラスターは優れた強化能を有することから、炭素クラスターを活用した高強度化及び工業的な実用化が期待されている。本研究では、炭素クラスターによる高強度化のための強化機構の解明を目的とし、透過電子顕微鏡によるその場加熱解析のためのホルダー開発を、そして、加熱による炭素クラスターの発生・分散状態や結晶構造を解明すること、そして炭素クラスターと転位の相互作用をその場引張法により動的観察することで、炭素クラスターと転位の相互作用を直接解明した。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
Scripta Materialia
巻: 193 ページ: 112~116
10.1016/j.scriptamat.2020.10.044
Micron
巻: 138 ページ: 102927~102927
10.1016/j.micron.2020.102927
Scientific Reports
巻: 10 ページ: 20146
10.1038/s41598-020-77156-1
Materials Characterization
巻: 159 ページ: 110006~110006
10.1016/j.matchar.2019.110006