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2018 年度 実施状況報告書

細胞が遊走地点に残すミグラソームの機能解析に向けたペプチド界面の設計

研究課題

研究課題/領域番号 18K18970
研究機関東京工業大学

研究代表者

大河内 美奈  東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (70313301)

研究分担者 田中 祐圭  東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (60533958)
研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2020-03-31
キーワードペプチド / 細胞外小胞 / 細胞界面
研究実績の概要

生体膜小胞形成は、細胞機能の制御やがんなどの疾病に関与する重要なバイオプロセスである。ミグラソームは、細胞遊走過程において、あたかも足跡を残すかのように形成される大きさ1μm程度の細胞外小胞であるが、その機能はほとんど明らかにされていない。これは、細胞培養ディッシュ上での明視野顕微鏡観察ではミグラソームが確認できないことや、ミグラソームを捕捉して解析する技術基盤が十分ではないことに起因している。本研究では、細胞が遊走地点に残す生体膜小胞であるミグラソームに着目し、その機能解析に向けたペプチド界面の設計を目的としている。本年度は、生体膜親和性ペプチドを結合した基板上で細胞を培養することで、ミグラソームの形成過程について観察するとともに、形成されたミグラソームの捕捉について検討した。生体膜小胞を安定に捕捉するペプチドの選定には、多様なペプチド配列を並列合成できるスポット合成法を用いた。細胞膜結合性を評価した結果、ミグラソームを捕捉可能なペプチド配列を探索できた。また、ペプチド修飾基板の作製には、アミノ基修飾スライドグラスを用い、C末端側をシステイン修飾したペプチドを架橋剤としてGMBSを用いて結合した。作製したペプチド修飾基板上での細胞観察においてミグラソームの形成を確認した。通常のスライドグラス上に産生されたミグラソームは、時間の経過とともに接着面から剥離されるのに対し、ペプチド界面では1日後も安定に捕捉できることが明らかとなった。以上のことから、ミグラソームを安定に捕捉できるペプチド界面を構築できたことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、細胞培養の際に培養接着面に産生するミグラソームの安定した捕捉を行うため、細胞膜結合性を有するペプチドを設計し、ミグラソーム捕捉について検討した。細胞活性に影響のない良好な捕捉面を構築できた。

今後の研究の推進方策

細胞が産生するミグラソームの捕捉に適したペプチド界面の最適化について検討するとともに、ミグラソームの回収法について検討する。ミグラソームの機能解析を進めることで、細胞の代謝や情報伝達過程における役割などを明らかにできるものと期待される。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (11件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)

  • [学会発表] Mina Okochi、Biosensing using the functional peptide probes screened by peptide array2019

    • 著者名/発表者名
      Mina Okochi
    • 学会等名
      電気化学会第86回大会内第65回化学センサ発表会(台湾とのジョイントセッション)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Detection of individual cells using a peptide-functionalized solid nano-pore2019

    • 著者名/発表者名
      Mina Okochi
    • 学会等名
      The Second International Workshop by the 174th Committee JSPS on Symbiosis of Biology and Nanodevice
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] フラジェリン認識ペプチドを修飾したポアセンサによる微生物の検出2018

    • 著者名/発表者名
      大河内美奈、田中祐圭、丸井貴皓、筒井真楠、横田一道、鷲尾隆、谷口正輝、河合知二
    • 学会等名
      化学とマイクロ・ナノシステム学会第37回研究会
  • [学会発表] ペプチドアレイを用いた爆発物認識ペプチドプローブの探索2018

    • 著者名/発表者名
      児美川拓実・矢内健太郎・田中祐圭・大河内美奈
    • 学会等名
      化学とマイクロ・ナノシステム学会第37回研究会
  • [学会発表] Screening of exosome-binding peptides from EWI-2 protein2018

    • 著者名/発表者名
      Suwatthanarak Thanawat、田中祐圭、大河内美奈
    • 学会等名
      第70回生物工学会年次大会
  • [学会発表] 薄層グラファイト上への細胞膜結合性ペプチド界面の構築2018

    • 著者名/発表者名
      立松宗一郎、田中祐圭、大河内美奈
    • 学会等名
      第12回バイオ関連化学シンポジウム
  • [学会発表] TNT抗体フラグメントを用いた爆発性化合物の検出2018

    • 著者名/発表者名
      大河内 美奈、児美川 拓実、矢内 健太郎、Wang Jin、田中 祐圭、小野寺 武、都甲 潔
    • 学会等名
      第12回バイオ関連化学シンポジウム
  • [学会発表] 高感度検出に向けたペプチド修飾ポアセンサの開発2018

    • 著者名/発表者名
      服部翔太、田中祐圭、有馬彰秀、筒井真楠、谷口正輝、大河内美奈
    • 学会等名
      化学工学会第50回秋季大会
  • [学会発表] 細菌結合性ペプチドの探索とZnO表面へのone-pot修飾による細菌捕捉界面の構築2018

    • 著者名/発表者名
      田中祐圭、イルファハヌンハルリサ、高橋雄太、大河内美奈
    • 学会等名
      化学工学会第50回秋季大会
  • [学会発表] 複合ペプチドによる細胞ーナノ材料界面の構築2018

    • 著者名/発表者名
      齊藤彰吾、立松宗一郎、田中祐圭、大河内美奈
    • 学会等名
      化学とマイクロ・ナノシステム学会第38回研究会
  • [学会発表] Screening of peptides binding to cancer-derived exosomes from EWI-2 protein2018

    • 著者名/発表者名
      Thanawat Suwatthanarak, Masayoshi Tanaka, Mina Okochi
    • 学会等名
      The 24th Symposium of Young Asian Biological Engineers’ Community
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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