研究課題/領域番号 |
18K18973
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
寺村 謙太郎 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80401131)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 層状複水酸化物 / Ni-Al LDH / 二酸化炭素の水素化 / 一酸化炭素 |
研究実績の概要 |
応募時の研究目的は層状複水酸化物(Layered Double Hydroxide:以下,LDHと略記)の固体塩基性を示す3つの要素(強度,量,性質)を定量化し,他の固体塩基材料や一連のLDH間で比較できるようにすると記載していた.そのため,平成30年度における研究計画では,LDHを用いた固体塩基反応の条件検討および最適化を行うとしていた.すなわち,合成条件・合成方法・構成元素が異なるLDHの固体塩基性の評価を触媒反応からサポートするためにまずは固体塩基反応の選定を行う予定をしていた.しかしながら,平成30年度前半における検討において,当初予定していた固液系の反応では応募者らが行いたい検討を行うのは難しいことがわかった.そこで計画を大きく見直すことにし,気固系の反応に展開することにした.LDHの固体塩基性を利用するのであればプローブでもあるCO2を利用するような反応が良いと考え,CO2の水素化をテスト反応とすることにした.一般的にNiを触媒とした場合においては,CO2の水素化を行うとCH4が主生成物として生成する.一方で,Ptを触媒とした場合においてはCOが主生成物として生成する.本年度の検討においては,Ni-Al LDHを前駆体として,少量のPtを層内に展開することによって,Pt-Ni合金粒子の調製に成功した.Ptを少量含むPt-Ni合金触媒上ではNi触媒と同様に,RWGS反応が大きく抑制されメタン化反応への高選択性を維持された.さらに,Ptを少量含む触媒はPtを含まない触媒のよりもメタン生成活性が向上した.また最適化された5 mol%のPtを含むPt-Ni組成において種々の合金担持触媒との活性比較を行い,本触媒のみが著しく高いメタン生成活性を持つことを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要でも述べたように,当初予定していた固液反応系とは大きく異なる気固反応系を検討することになった.今後検討を行う予定であるCO2の水素化に関しても,CO2の吸着が関与する反応と考えられるため,固体塩基性の評価という点においては,研究提案のコンセプトは維持できると考えている.しかしながら,固体塩基点の検討方法が大きく異なってくるので研究計画を大きく変更する必要があると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
申請書において提案していた反応とは大きく異なるが,平成31年度に検討しようとしていた内容はほとんど変更しなくてもよいものだと考えている.すなわち,研究提案において示したPhase 1「LDHを持ち多固体塩基触媒および触媒評価に関する現状調査」およびPhase 2「各種LDHを用いた固体塩基反応の準備」の結果,当初予想していなかったCO2の水素化を行うことになった.平成31年度においてはPhase 3「各種LDHを用いた固体塩基反応の検討および最適化」およびPhase 4「塩基性発現についての詳細な検討」を行う予定にしている.Phase 3に関しては平成30年度後半に終了している予定であったが,前述の理由によって平成31年度前半へと先送りすることになった.しかしながら,CO2の水素化を行う装置についてはすでに構築済みであり,一連の予備反応も終了しているため,順調に進捗すると考えている.Phase 4についてはLDHの高温焼成と固体塩基性の関係性について整理する方向で再構築することを予定している.
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