研究課題/領域番号 |
18K18979
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
島田 学 広島大学, 工学研究科, 教授 (70178953)
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研究分担者 |
久保 優 広島大学, 工学研究科, 助教 (00633752)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 機能性複合材料創製 / 静電堆積 / カーボンナノチューブ / CVD / エアロゾル凝集 |
研究実績の概要 |
本研究では、触媒またはセンサーの機能を有する材料に対して大きな有効面積と到達性を付与するために、これらの材料で被覆された多数の繊維状物体が基材面に対して概ね垂直に配置された形態を実現できる、反応析出や粒子凝集で被覆した繊維状物体を気流と静電気力によって配向させて基材へ堆積させるプロセスを構築することを目的としている。本年度の研究成果の概要は、以下のとおりである。 1.サイズがナノメートルオーダーの繊維状物体を気中分散して異種材料で被覆する系を製作し、被覆試験が行えるようにした。繊維状物体としてカーボンナノチューブ(CNT)を対象とし、その懸濁液を噴霧乾燥することによって、CNTをガス中に分散可能とした。浮遊状態のCNTに、代表的な光触媒材料のひとつである酸化チタンの原料の有機金属蒸気を混合しプラズマ場に導入することで、気相化学析出(CVD)により酸化チタンの薄膜がCNT表面で析出するようにした。 2.繊維状物体を堆積基板に輸送するための堆積用チャンバを製作した。構造や直流電源に繋げた電場制御部の配置を工夫することで、チャンバ内のガス流速と静電場が変えられるようにした。さらに、ガス中に分散させた未被覆のCNTを堆積させる予備的堆積実験を行い、堆積時間と堆積量の関係を調べた。 3.CNTの気中分散の操作条件、および有機金属蒸気の性状・混合の仕方、プラズマ場の状態などのCVDの操作条件を変えつつ、酸化チタン被覆CNTの作製を検討した。作製物を捕集して、電子顕微鏡観察、X線回折、分光分析などを行い、分散度、表面形状、被覆厚みと均一性、結晶相、化学組成を評価し、操作条件と被覆状態との関係を把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画における重要な点は、繊維状物体をガス中に良好に分散でき、かつ基板に十分な量堆積できるか、および、良好な被覆状態が得られる条件の幅がどの程度かを確認することであった。これらの点について、次年度以降の検討の観点から満足行く結果が得られたため、進展は順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に、当初の研究計画に沿って遂行することとする。すなわち、被覆・輸送条件を変化させて被覆体の堆積物を作製し、堆積状態および材料としての性能の関係を調べ明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
堆積用チャンバーの製作は、当初より必要なだけ試行・改良を重ねる予定としていたが、これが想定以下で済んだことによる。この額は、次年度の被覆・堆積実験の機会を増やすことに充てることとする。
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