研究課題
難反応性のメタンを中心に水,アンモニア等の小分子を“部品”とみたて,これらを自在に結合させることで目的の化合物を得るボトムアップ式の合成法は,メタンからあらゆる化成品を合成できる可能性を秘めた画期的な合成法である.本研究では,その最初の研究として,触媒を用いてラジカル反応を制御し,メタンや水等の小分子のラジカル種の選択的なカップリング反応を可能にする“多元プラズマ触媒反応システム”の開発に挑戦する.本年度はプラズマ反応に活性な触媒の開発を行った.量子化学計算を行ったところ,Auを用いることでメタンラジカルからエタンが発熱的に生成すること,二つ目のメチルラジカルの触媒への吸着が律速過程であることが推測された.また,Auがより負の電荷を帯びると律速過程の活性化エネルギーが向上することも予想される.次にプラズマジェットを用いてメタン変換反応を行った.He中にメタンを混合したガスを導入し,反応を行った.ガス組成,流速,放電の際の電位等を最適化した後,プラズマ反応を行った.触媒を導入しなくてもメタンカップリング反応は進行するが,シリカやアルミナといった金属酸化物を導入すと反応活性は倍以上に向上した.次に含浸法により金属酸化物担体にAu粒子を担持して反応を行ったところ,Au担持前よりも活性は若干低くなったものの,エタンへの選択性が向上した.このことは担持Auがメチルラジカルのカップリング反応の反応場として機能していることを示している.
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The Journal of Physical Chemistry C
巻: 125 ページ: 3143~3149
10.1021/acs.jpcc.0c09369
巻: 124 ページ: 10975~10980
10.1021/acs.jpcc.0c01488