研究課題/領域番号 |
18K18983
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
田中 俊輔 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (20454598)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | ガス分離膜 / ガス吸着 / MOF膜 / 多孔性金属錯体 / ナノ空間 |
研究実績の概要 |
多孔性金属錯体の各種ガス吸着特性を評価し、酸素選択透過膜に適した構造をスクリーニングした。また、その薄膜化およびガス透過試験による膜欠陥の有無の一次評価を行った。補助事業期間中の研究実施計画に掲げた下記の内容を実施した。「(1)酸素透過に適した多孔性金属錯体の合成、ヘムの固定化とその構造制御」として、各種多孔性金属錯体を合成し、その構造制御を行った。例えば、CoとZn、AlとZnをひとつの結晶構造内部に含む二元金属の多孔性金属錯体の合成に成功した。また、同一結晶構造内に異なる複数の有機配位子を共存させることに成功した。「(2)多孔性金属錯体の吸着特性の評価」として、各種ガスの吸着特性を評価し、その結果を材料調製・構造制御にフィードバックし、酸素分離に適した構造を検証した。同じ結晶トポロジーを保持しつつ、異なる複数の金属イオンや異なる複数の有機配位子の比率を変えて結晶内に導入することによって、細孔径(ケージ径と開口径)を連続的に制御できることを実証した。また、酸素吸着能の付与を目的として、多孔性金属錯体に鉄を主成分とし、かつ酸化還元特性をもつフェロセンなどの第三成分を多孔性金属錯体に複合化させた。「(3)多孔性金属錯体の薄膜化」として、多孔性金属錯体の核生成密度と結晶成長を制御し、 結晶粒のサイズが異なる膜をin situで作製した。また、従来法では必須であった反応溶媒を一切用いない気相法による多孔性金属錯体の膜化手法を考案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種多孔性金属錯体の合成と構造制御に関する知見を得ることができた。また、合成した多孔性金属錯体の各種ガス吸着特性を評価し、その結果を材料調製・構造制御にフィードバックし、酸素分離に適した構造を検証することができた。
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今後の研究の推進方策 |
分子の大きさに基づいた分離機構のみの活用では所望の酸素分離性能を得るには限界がある。本年度の成果として得られた多孔性金属錯体薄膜に酸素選択透過能を付与することが重要である。今後は、酸素吸着能をもつ鉄ーポルフィリン錯体などを多孔性金属錯体に導入・固定化する条件を探索し、酸素選択分離の機能を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が当初の計画通りに進み、試行錯誤的な実験を削減できたため、次年度使用額が生じた。 次年度に予定している研究計画では、開発試料の評価実験が増加するため、その他(主に実験機器の賃借料)として計上する。
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