研究課題/領域番号 |
18K18987
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
櫻庭 政夫 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (30271993)
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研究分担者 |
佐藤 茂雄 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (10282013)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | ヘテロ構造 / エピタキシャル成長 / 選択エッチング / ラマン散乱分光 / シリコン / ペンタシリセン |
研究実績の概要 |
“Si(100)極薄膜における再配列現象によってダイヤモンド構造から非ダイヤモンド構造へと結晶構造転換”できる可能性について実験的に検証するために、まず、二つの橋脚構造によって挟まれたGe/Si極薄膜/Ge(100)ヘテロエピタキシャル構造を形成する。この構造に対して、横方向Geエッチングを行い、宙づり状態のサブナノメートル(目標3原子層)厚さの水素終端Si(100)極薄膜を安定的に製作するプロセスの開発を進めた。特に、二つの橋脚構造によってはさまれたGe/Si極薄膜/Ge(100)ヘテロエピタキシャル構造を形成し、Ge選択エッチング後にSi極薄膜を基板上に着地させて写し取ることを可能とすることが重要と考えられた。特に、橋脚エッチング進行にともなう橋脚変形を促進することによって、Si極薄膜への応力緩和を行う手法を提案した。これにより、Si極薄膜を基板上に着地させて安定的に写し取ることが可能になると期待される。また、ラマン散乱分光用のレーザーを購入し、Si結晶基板内のSi-Si結合の格子振動に起因する発光を確認できた。これにより、通常のダイヤモンド構造Si結晶とは異なる格子振動モードを観測することに役立てる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
橋脚エッチング進行にともなう橋脚変形を促進する手法によって、Si極薄膜への応力緩和を行いながら、Si極薄膜を基板上に着地させて写し取ることを可能とすることとした。そこにおいて、橋脚構造の材料・形状・寸法やそれをエッチングする時の変形やSi極薄膜への影響について、既存プロセスの適合性などを考慮しながら、さらに詳細な検討を進める必要が出てきたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、上記橋脚構造形成プロセスの構築を進めるために必要となるリソグラフィ用マスクの設計を進め、プロセスの有効性を検証していく。特に、Ge選択エッチング後にSi極薄膜を基板上に着地させて写し取ることが可能かどうかが一つのポイントとなる。その後、橋脚構造が除去された状況において、反射高速電子回折やラマン散乱分光を行い、通常のダイヤモンド構造Si結晶とは異なる原子配列や格子振動モードが観測されるどうか検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
橋脚構造形成プロセスの検討に当初の予定よりも多くの時間を掛けているため、一部の物品購入や成果発表は次年度に行うものと計画変更したため、次年度使用額が生じた。この変更は想定の範囲内であるため、総合的な使用計画に変更はない。
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