CdTe自己形成ドット中のCr原子1個の単一スピンの振舞いを明らかにした。ドット中の単一Crスピンとの交換相互作用による励起子発光スペクトルの分裂を観測し、分裂した発光線への共鳴励起によりCrスピンの各状態の分布を制御できることを示した。共鳴励起下で生成した特定のCrスピン状態の分布の減衰を観測し(光学ポンピング現象)、減衰の起源となるCrスピン状態間の遷移の過程を明らかにした。加えてCrスピンとの交換分裂と似た形状のスペクトルを示すが直線偏光特性などで異なる特徴を示す発光スペクトルを見出し、ドット近傍に位置するCrイオンの価数揺動による分裂に起因することを明らかにした。
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