研究課題/領域番号 |
18K18991
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森本 雄矢 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (60739233)
|
研究分担者 |
根岸 みどり (加藤みどり) 武蔵野大学, 薬学部, 助教 (30300750)
長田 翔伍 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (40751441)
高橋 英俊 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (90625485)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
|
キーワード | Organ-on-a-chip / マイクロ流路 / マイクロ工学 / BioMEMS |
研究実績の概要 |
本年度は血管壁モデルに模擬血流として送液する培養液のせん断刺激を負荷し、せん断刺激によって細胞が活性化されることを示す。さらに、細胞からの分泌物質が血管壁を移行し模擬血液である培養液に取り込まれる、物質移行を実現することを目指した。 血管壁の物質移行性は血管細胞および周辺細胞が接着し合うことで形成される細胞バリアによってもたらされる。まずは細胞バリアを計測可能にするためにマイクロ流路中に電極を設置可能にする、または血管壁をマイクロ流路から着脱可能にすることで、構築した血管壁の経上皮電気抵抗を計測可能にした。マイクロ流路内に培養液を送液することで、発生するせん断刺激を血管細胞に負荷すると経上皮電気抵抗が上昇することを確認した。本結果は、培養液の流れによって細胞のバリア機能を上昇可能であることを示唆している。加えて、マイクロ流路内のせん断刺激の強さは流速に応じて変化させることができ、バリア機能上昇に必要なせん断刺激強さの最適化も順調に進捗している。 また、血管細胞と共に実質細胞を培養した共培養血管壁を構築し、血管細胞に流れ刺激を負荷すると、実質細胞から分泌される物質の量が増加することが確認された。さらに、実質細胞から分泌された物質は血管細胞が形成するバリアを通して、マイクロ流路側に移行していることも確認された。このことより、構築した血管壁モデルを利用した物質移行について実現できており、本年度の目的は達成されたと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、物理刺激を負荷した状態での物質移行性評価に成功しており、研究は順調に進展していると見なすことができる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は構築した血管壁モデルに薬剤などを負荷し、物理刺激下における薬剤への応答性を評価する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
デバイスを滅菌し再利用する方法を確立したため、当初の予定よりデバイス数を削減して達成できた。一方、翌年度はデバイスへの薬剤が懸念されるため再利用を避けるので、次年度使用額をデバイス作製費に充てる予定である。
|