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2019 年度 実施状況報告書

ダイヤモンド伝導キャリアスピンデバイスの新規創製と物理開拓

研究課題

研究課題/領域番号 18K18996
研究機関東京工業大学

研究代表者

小寺 哲夫  東京工業大学, 工学院, 准教授 (00466856)

研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2021-03-31
キーワード量子デバイス / スピンデバイス / 量子情報 / 量子ドット / スピン軌道相互作用
研究実績の概要

本研究の目的は、将来的にダイヤモンドに量子構造中に伝導キャリアのスピン輸送を実現し、そのスピンダイナミクスに関わる根本の物理を解明するため、その基盤技術を開発することとした。我々がシリコンを用いて進めてきた最近の研究において、スピン軌道相互作用によるスピン緩和を示唆する現象が観測された。炭素はシリコンよりも原子質量が小さいことに起因してスピン軌道相互作用が小さいと考えられ、キャリアのスピンコヒーレンス時間がシリコンよりも長いと期待される。本研究は、スピンダイナミクスに関わる根本の物理解明に向けた、萌芽的な研究に位置づけられている。
補助事業期間中の研究実施計画の項目としては、素子作製と評価、物理の解明を挙げた。具体的には、1.ダイヤモンドの表面を水素終端することで、2次元正孔ガスを誘起させる。2.2次元正孔ガスに対して微細加工を施すことで、2重量子ドット構造を作製する。3.パウリの排他原理による電流抑制現象の観測を目指す。現時点において、素子作製については、構造検討、素子設計、電子線描画の条件出しをさらに進めた。また物理の解明に向けては、国内外の研究者らとの議論、第一原理計算も含めた理論的アプローチを進めることで、電子状態に関する理解がさらに深まった。測定系の構築については、順調に進めることができた。この測定系を用いて、2重量子ドットのポテンシャルをゲート電極によって調整し、ソースドレイン間を流れる電流を測定することで、スピンブロッケードを観測し、磁場依存性を詳細に調べることで、スピン緩和要因や緩和時間について明らかにすることができる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

世界的にも実現例のない全く新しい素子を提案してスピンに関わる物理を捉えようとする挑戦的な研究であり、構造検討、素子設計、物理的背景について国内外の研究者らとの議論を通じて、その物理の理解が進んでいる。また測定系の構築については、順調に進んだ。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策としては、昨年度に引き続き、素子作製と評価、物理の解明を進める。具体的には、研究実施計画の項目に挙げた次の項目を進める。1.ダイヤモンドの表面を水素終端することで、2次元正孔ガスを誘起させる。2.2次元正孔ガスに対して微細加工を施すことで、2重量子ドット構造を作製する。3.パウリの排他原理による電流抑制現象の観測を目指す。2重量子ドットのポテンシャルをゲート電極によって調整し、ソースドレイン間を流れる電流を測定することで、スピンブロッケードを実現する。磁場依存性を詳細に調べることで、スピン緩和要因や緩和時間について明らかにする。特に核スピン結合以外のスピン緩和要因としてスピン軌道相互作用やバレー状態の影響を定量的に評価する。国内外の研究者らとの議論を通じての物理の理解、第一原理計算も含めた理論的アプローチについても継続する。構築した測定系を用いて研究を推進したい。

次年度使用額が生じた理由

理論的アプローチによる研究が主となり、次年度において実験的アプローチによる研究を主とする。実験的アプローチによる研究に使用する物品費として計上していたため、次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額は主に物品費(素子作製、素子評価測定系など)および成果発表のための旅費に使用予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Preparing Multipartite Entangled Spin Qubits via Pauli Spin Blockade2020

    • 著者名/発表者名
      S. Bugu, F. Ozaydin, T. Ferrus, and T. Kodera
    • 雑誌名

      Sci. Rep.

      巻: 10 ページ: 3481-1-8

    • DOI

      https://doi.org/10.1038/s41598-020-60299-6

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 異なる表面終端を持つダイヤモンドスラブ中のNV-1センターの第一原理解析2020

    • 著者名/発表者名
      依田 大地、ムルガナタン マノハラン、カリクンナン アフサル、小寺 哲夫、水田 博
    • 学会等名
      第67回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] Observation of bipolar Pauli spin blockade and the few-electron regime in a silicon linearly triple quantum dot2019

    • 著者名/発表者名
      S.Ota, S. Hiraoka, R. Mizokuchi, T. Kodera
    • 学会等名
      Topical Conference on Quantum Computing 2019 (TCQC2019)
    • 国際学会
  • [学会発表] RF reflectometry on physically defined triangular triple quantum dot2019

    • 著者名/発表者名
      R. Mizokuchi, S. Bugu, M. Hirayama, M. Tadokoro, T. Kodera
    • 学会等名
      Topical Conference on Quantum Computing 2019 (TCQC2019)
    • 国際学会
  • [学会発表] Study on measurement of p-type silicon double quantum dots with FPGA2019

    • 著者名/発表者名
      K. Tashiro, R. Mizokuchi, H. Wei, H. Takahashi, M. Hirayama, S. Nishiyama, N. Shimatani, Y. Yamaoka and T. Kodera
    • 学会等名
      International Symposium on Hybrid Quantum Systems 2019 (HQS2019)
    • 国際学会
  • [学会発表] 物理的に形成された量子ドットを用いたRF反射測定2019

    • 著者名/発表者名
      溝口 来成、Bugu Sinan、田所 雅大、小寺 哲夫
    • 学会等名
      第80回応用物理学会秋季学術講演会
  • [備考] 東京工業大学 小寺研究室 (Kodera Laboratory)

    • URL

      http://www.quantum.ee.e.titech.ac.jp/

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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