研究実績の概要 |
炭化水素から成る “有機強磁性体”の実現は化学者の夢であり、有機強磁性体開発に関する研究は1980年代から行われてきた。そのアプローチは有機ラジカル(スピン1/2)を強磁性カップリングが生じるように交互に並べる(化学結合による連結または結晶化)という戦略がほとんどであり、極低温で強磁性相互作用が得られるものの、室温では未だかつて得られていない。本研究では、非対称Z型前駆体分子を設計し、我々が世界に先駆けて見出した“生物模倣触媒作用” (H. Sakaguchi, et al., Nat. Chem., 9, 57 2017)を利用して、強磁性を有する非対称型ジグザグエッジGNRの合成を目指した。様々な実験の結果、気相成長を用いる手法では困難であることが分かり、溶液法を用いた手法に変更して分子設計・有機合成を行った。このために非対称z型ポリフェニレン誘導体を設計し、有機合成を行った。
|