研究課題
挑戦的研究(萌芽)
片側エッジのみにジグザグ構造を持つGNRの表面合成を目指して、非対称のZ型ポリフェニレン前駆体を設計し有機合成した。この前駆体を用いて二ゾーン化学気相成長を行いAu(111)基板上にGNR形成を試みた。走査型トンネル顕微鏡で表面観察すると、数十ナノメートルの大きさを持つ二次元状構造体が観測された。この構造は、期待する一次元GNRの形状であるワイヤー上の構造ではないことが判明した。この理由は、官能基が400℃の温度で分解し、活性構造となりGNR分子間同士が縮環した二次元構造が生成したものと考えられる。官能基の分解を起こさない低温での脱水素縮環反応を開発することにより、目的が達成されると思われる。
ナノ科学
従来の対称型ジグザグエッジGNRで予測される鎖内エッジ間でのスピンの相殺の問題を克服するため、片側エッジのみにジグザグ構造を持つ新しい非対称型GNR構造を提案した。この構造を実現するために、非対称Z型前駆体分子を設計し、我々が世界に先駆けて見出した“生物模倣触媒作用” (H. Sakaguchi, et al., Nat. Chem., 9, 57 2017)を利用した、強磁性を有する非対称型ジグザグエッジGNRの提案を行った。