研究課題/領域番号 |
18K19014
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
保原 麗 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (30568176)
|
研究分担者 |
白木 一郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10399389)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
|
キーワード | スピン / プローブ / SPM |
研究実績の概要 |
本研究は伝導電子のスピン偏極度の、平衡状態からのずれであるスピン圧を、「局所的」かつ「電気的」に簡便に測定できる、メカニカルなプローブを開発することが目的である。そのためにはスピン圧と電圧を変換するための機構をプローブ先端の微細なスペースに作りこむことが必要であるが、その原理に磁性体・非磁性体界面のスピン圧生成メカニズムを利用することを考えており、その構造や材質の選定が研究の要となっている。 微細加工施設の使用可能時間が限られているため、本年度も引き続き主にシミュレーションと設計を行った。昨年度、一昨年の研究から、本課題において、プローブ先端の複数電極の接触性が最重要の課題であることが分かっているが、プロセスの際、プローブ先端に保護層を設けることで改善できる可能性があることがわかってきた。保護層は測定の際には邪魔になるため、その材質、量、生成方法等の最適化を行っている。 微細加工施設の使用はできなかったが、課題期間の延長により、一昨年度作成したプローブの経年変化やその保管状況による違いを検討することができた。一昨年度のプローブには保護層がなく、接触部の銅が露出していたため劣化が危惧されるが、2年たっても十分に動作するプローブもあることがわかった。劣化の程度はプロセス各工程での洗浄プロセスの差によることがわかった。従来問題となっていたプローブ間の個体差も同じ原因である可能性が高く、解決の糸口となると考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度も微細加工施設の利用に制限があり、進捗は芳しくなかった。 一方で、課題期間の延長により、当初の予定にはなかったプローブの年単位の経年変化を検証することができた。 これにより、プロセスの問題点を洗い出すことができ、一昨年はあきらめていたプローブ個体差の解決につながると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
微細加工施設の利用制限が解除されるため、当初予定した通りプローブの製作をおこなう。 その際は本年度検討した保護層や判明したプロセスの問題点の改善を取り入れる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題は微細加工施設の利用が必須であるが、本年度はその利用が制限されており、本課題では利用ができなかった。 そのため施設利用に予定していた金額を使用しなかったが、次年度利用したいため、この分を次年度に回したい。
|