本研究は、キャビティの存在によって分子のポテンシャル表面を変調させて、分子内で起こる化学反応などを外部から制御することを目指している。キャビティという周囲環境の存在だけで、従来強電場や局所電場などを作用させることで行なっていたポテンシャルの変調を容易に行えるようになれば、化学反応制御の実現に向けてその応用も期待される。 今回の結果で、振動ポラリトンの実現が確認され、その測定手法について試料、キャビティの準備について様々なノウハウを蓄積できた。近年、キャビティによる化学反応速度の変化が実際に報告されており、そのメカニズムについて超短パルスを用いて波束の運動を追跡する実験には大きな価値がある。
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