本研究で は,分子構造を高度に設計・制御した有機および錯体触媒群を組み合わせた「木質分子変換触媒クラスター」を新たに開発し,スギ材・原木を穏和な 条件下で制御分解し,さらには直接有用化合物の合成を行う分子変換反応を開発する。ある種の有機スルホン酸触媒を用いた,過酸化水素による木粉の脱リグニン・脱ヘミセルロース反応を開発し,60-80°C程度という穏和な条件のもとで,グルコース成分が90%程度の高純度セルロースを高収率で得る事ができた。さらに,ここで得られるセルロースは簡易な解繊作業で数十ナノメートル幅のナノセルロースナノ集合体に解繊されることが電子顕微鏡および分子間力顕微鏡で明らかとした。
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