有機合成において、複数の原料混合物から選択的にひとつの原料を反応せること、すなわち化学選択的反応は究極の課題である。これまで、大きく特徴の異なる化合物間での選択的反応は達成されてきたが、有機化合物の代表である芳香族化合物と脂肪族化合物を見分ける反応は前例がなかった。本研究ではこのテーマに取り組み、世界で初めて芳香族と脂肪族の混合系から、極めて高い選択性で芳香族化合物を認識する触媒反応を達成した。このことは、従来高いコストのかかっていた化合物分離や、多段階の変換反応を全く必要とせず、今回開発した化合物を触媒として少量添加するだけで達成することができ、学術的にも工業的にも画期的な成果である。
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