優れた円偏光発光特性を示す有機色素分子の分子設計として、円偏光発光の理論式に基づき、色素分子の環状配列構造を提案した。この構造では面内方向の遷移電気双極子モーメントが相殺されることから、有機色素分子における本質的に大きな遷移電気双極子モーメントに起因する小さな円偏光度という欠点が改善できる可能性がある。実際にジケトピロロピロールを用いて、環状オリゴマー分子の合成・単離を行い、ラセミ体として得ることには成功したが、キラルカラム中で分解したことから、光学分割には至っていない。TDDFT計算を用いた理論計算では高い円偏光度が示されたことから、本研究計画の分子設計指針の確からしさが示された。
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