研究課題
挑戦的研究(萌芽)
自然にヒントを得た高靱性化のための普遍的な方法論構築を目的として、筋タンパク等の構造上の特徴である折りたたみ構造を模倣して、多数の分子内物理架橋点を合成高分子材料に導入し、分子内物理架橋が力学特性に及ぼす効果の検証を行った。具体的には、ブロック共重合体型の熱可塑性エラストマーに強固な水素結合を形成する官能基を導入し、分子内架橋点を誘導した上で、その力学特性を一軸伸長試験により評価することを通じて、分子内折りたたみ構造が架橋高分子の力学特性を向上に寄与することを確認した。
高分子構造・物性
本研究により、分子内折りたたみ構造の導入が、高分子材料の新たな力学特性向上手段となり得ることを示す先駆的な知見が得られた。高分子の三次元網目からなる架橋高分子は産業上重要な材料であり、その力学的信頼性の向上は常に重要な課題である。今後、より多様な高分子種・結合種を用いた折りたたみ構造を実現・検証することで、優れた力学機能を有する材料の開発につながると期待される。