研究課題/領域番号 |
18K19113
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
浦山 健治 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 教授 (20263147)
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研究分担者 |
鈴木 大介 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (90547019)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | ゲル微粒子 / 微粒子 / ペースト |
研究実績の概要 |
マクロゲルにゲル微粒子を高充填させることによって,ゲルの力学的強靭化および刺激応答特性の創出をねらっている。このようなマクロゲルは,ゲル微粒子が高充填された分散液に反応性モノマーと架橋剤を溶解させ,重合反応を行うことにより得ることを想定している。本年度は,ゲル化前のゲル微粒子が高充填された分散液のレオロジー特性について詳細な解析を行うとともに,前述のスキームによるゲルの作製を試みた。 架橋密度や粒径の異なるゲル微粒子を合成した。総ゲル微粒子の体積分率(みかけを一定に保ったまま,架橋密度や粒径が異なるゲル微粒子の二成分系の混合分散液のレオロジー的性質を調べた。粒径が同程度で硬軟だけが異なる混合系の場合,分散液の平衡弾性率の対数が組成に比例するという単純則が成立することがわかった。一方,硬軟と粒径のいずれも大きく異なる場合,硬軟にかかわらず,弾性率が小粒子の重量分率にほとんど依存しない領域が高重量分率領域に広域に現れた。これは数分率で圧倒的に大きい小粒子は連続相を形成しやすく,そのような小粒子の連続相が混合物の弾性率を支配すると考えられる。 これらの高充填ゲル微粒子懸濁液に対して上述の方法でマクロゲルの作製を試みた。微粒子の充填率の増加に伴ってマクロゲルの弾性率が増加することは確認できた。しかし,微粒子の存在によってマクロゲル作製時の架橋反応度が低下しており,厳密な相対評価が難しいことがわかった。他の架橋反応を検討することにより,真の意味でゲル微粒子の充填効果を議論できるモデル系を構築することを次年度の目標とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲル化前の分散液の弾性的性質については精査が完了した。分散液からのマクロゲルの作製は成功したが,現状では架橋反応が微粒子の存在をうけやすいという問題があり,異なる架橋反応の検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
マクロゲルの架橋反応として現状の熱ラジカル反応ではなく,光開始剤を利用した光架橋反応を検討する。分散液中の混合物に光開始剤を加え,透明ガラスセル中の溶液に光照射し,ゲルを作製する。微粒子の存在が架橋反応を阻害していないかどうか,マクロゲルの弾性率の微粒子充填率に対する依存性を検討して確認する。意図する反応系が得られれば,そのマクロゲルを利用し,大変形挙動および温度応答性の微粒子充填率依存性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
マクロゲルの作製条件がなかなか確定できなかったため,マクロゲル作製用のゲル微粒子を当初の予定ほどは合成せずに今年度は終了してしまった。このため,ゲル微粒子合成用の原料の購入費の分で,当該助成金が生じた。来年度はマクロゲルの作製条件は確定するため,翌年度分として請求する助成金とあわせて,当該助成金を用いて,様々なゲル微粒子を合成するための原料購入費に充当するつもりである。
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