ベンゼン環が直線上に縮環したアセンは優れた有機半導体材料として高く注目されているが、ペンタセン(ベンゼン数N=5)以上の高次アセンは酸化に対して不安定であること、有機溶媒に難溶であることから合成や誘導体化が困難である。そこでノナセン(N=9)の光前駆体を合成し、超高真空下金基板上で光照射することでノナセン(N=9)の合成に成功した。ヘプタセン(N=7)やノナセンの電子構造を走査型プローブ顕微鏡(STM)やノンコンタクト原子間力顕微鏡(nc-AFM)で観測し、HOMO-LUMOのエネルギーギャップを理論値と比較することで、ヘキサセン以上のアセンは一重項開殻構造を有していることを実証した。
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