研究課題
本研究目的である、分極反転時に発生する電流を動力とする発電機構の開発の一環として、最終年度は組成及び歪み(基板や膜厚によって)をチューニングして、それらの正方晶性(c/a)をコントロールしたBi(Zn1/2Ti1/2)O3を母相にした正方晶ペロブスカイト型酸化物xBi(Zn1/2Ti1/2)O3-yBi(Mg1/2Ti1/2)O3-zBiFeO3においてそれらの分極反転挙動を確認した。分極反転のエネルギーを見積もるために(100)、(110)、(111)方位の単結晶SrTiO3を、電極には同構造のSrRuO3を用いた。各方位に成長したエピタキシャル薄膜は(100)においては正方晶、(110)および(111)では巨大正方晶を含むマルチドメイン構造を有していた。この結果より各方位において分極反転エネルギーは異なる事が予想できるが、実際に測定を行った結果、正方晶組成においては(100)が最も低いエネルギーで反転したが、菱面体晶組成においては(111)が最も低いエネルギーで反転した。分極値を考えると巨大正方晶層は分極反転には寄与していないと考えられる事も分かった。c/aの最も小さな1.06サンプルにおいて力学的なエネルギーで分極反転が起きるか検証した結果、残念ながら反転は見られなかった。BTO(c/a<1.01)においては反転が確認されているために、c/aが大きすぎた事から与えた力学的なエネルギーが足りていない、言い換えると破壊されるエネルギーよりも小さな力で動作する結晶構造が必要であることが分かった。総括すると、BTOと同等の結晶歪みを有する強誘電体材料は、薄膜が破壊される事ない力学的エネルギーで分極反転が可能であるが、歪みが大きくなるとそれは困難であるといえる。新しい発想の強誘電発電の可能性は十分に期待できるという結果であった。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 4件、 査読あり 13件) 備考 (1件)
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