研究課題/領域番号 |
18K19127
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
梅田 実 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (20323066)
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研究分担者 |
白仁田 沙代子 長岡技術科学大学, 産学融合トップランナー養成センター, 特任准教授 (90580994)
松田 翔風 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (90800649)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | ステンレススチール / 高耐食化 / 燃料電池 / セパレータ |
研究実績の概要 |
車載用の固体高分子形燃料電池用セパレータは,耐食性能に加えて機械的強度が要求される.これまで我々は,ステンレス鋼に窒素熱処理を施すことで,高耐食性を有する窒素熱処理ステンレス鋼の作製を行ってきた.本研究では,この耐食性発現のメカニズムを解明することを目的とする.本年度は反応性スパッタ法を用いて導電性基板上にCr-N層を設け,その電気化学的耐食性を評価した. 基板にステンレス鋼SUS430を用い,窒素ガス導入下でCrを反応性スパッタ法によりCr-N層を成膜した(Cr-N_As-depo).Crスパッタ時のガス圧を0.16 Pa(Ar:N2=1:5)とし,成膜後に500℃または800℃,減圧窒素雰囲気でポストアニールした.電気化学測定は,Arガスを飽和した0.5 M H2SO4中で作用極に作製したCr-N/SUS430,対極にPtコイルを用いて行った.まず1分間カソード分極し,自然電位から+1.1 V vs RHEまで,電位掃引速度0.33 mV /s,室温下でリニアスイープボルタモグラムを測定した. ボルタモグラムをCr-N_As-depoと500℃(Cr-N_500)および800℃(Cr-N_800)でポストアニールしたサンプルで比較した.腐食電流を,不働態領域の0.8 V vs RHEで比較すると,Cr-N_As-depoが一番大きく,次にCr-N_500,そしてCr-N_800の順になった.ポストアニールによる腐食電流抑制メカニズムを調べるため,グロー放電発光表面分析を行った.その結果,Cr-N_As-depo表面付近のN/Cr比が2.5であったのに対し,Cr-N_500とCr-N_800はそれぞれN/Cr比2.0と1.7であった.これより,0.8 V vs RHEの腐食電流とN/Cr比の相関が認められる.今後,さらに広範囲のN/Cr比を対象とした検討を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初より予定しているCr, Fe以外にも検討するべき元素が見いだされている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定どおりに推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
導電性被膜を構成する元素の分析とそれに基づき新規に購入するスパッタターゲットの選定に時間を要した。(ただし研究計画自体は、当初の計画どおりに推移している。)
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