研究課題
最終年度は、以下、2点について検討した。(1)前年度に実験的に検証したリチウムイオン電池におけるLiMn2O4-Li2Mn2O4二相共存反応をモデルとし、充電反応時にのみ特徴的にみられる過電圧の一時的な増大を、第一原理計算(材料計算)と遺伝的アルゴリズム(情報学)を用いた計算法により検討した。その結果、前年度に求めた核生成エネルギーの活性化エネルギーと非常に近い値を得ることができ、計算で仮定したモデルの正しさを証明することができた。核生成反応過程が充電放電の非対称性に関与することを提案できた。(2)最終年度は、今後実用化が期待されるLi金属電極の充放電反応の非対称性について検討した。ラプラス変換インピーダンス測定の結果、Li金属の溶解析出反応にも非対称性があることを確認できた。電解液および電解質を変更し、多種の条件でインピーダンス測定をしたところ、電解質の選択に対する強い依存性を確認した。また、抵抗にも充放電方向に対する非対称性を観測した。得られた結果から、金属電極では反応活性化過程が脱溶媒和・溶媒和の経路中にあり、脱溶媒和の抵抗のみを大きくすることで、充放電速度の犠牲を最小限にしながら、短絡の原因となるデンドライトを効果的に抑制することが示唆された。 以上に基づき、研究当初に掲げた目標である充放電反応の非対称性の要因解明と、非対称性を活用した電極材料の最適化のための材料デザインに対する指針を提案することができた。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件)
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