研究実績の概要 |
昨年に引き続き、理想的な剥離状態を維持しながらナノシート表面にストレプトアビジンを固定化するための基礎検討を行った。具体的には、単層剥離したナノシートを高分子ゲル中に固定化して凝集を抑制し、反応後にゲルを分解する新しい手法の確立を目指した。まず、六ニオブ酸ナノシート/水コロイドにモノマーであるN,N-dimethylacrylamide、分解性の化学架橋剤である3,9-divinyl-2,4,8,10-tetraoxaspiro[5.5]undecane、光重合開始剤である2-hydroxy-1-[4-(2-hydroxyethoxy)phenyl]-2-methyl-1-propanoneを加え、紫外線照射を行うことによって、ナノシートが高分子網目中に固定化されたヒドロゲルを得る事に成功した。このゲルの溶媒をジメチルホルムアミドに置換した後にシリル化剤を導入し、加熱することで、ナノシート表面へのシリル化反応を進行させた。さらに、このゲルと水を耐圧容器内に入れて高温で加熱することで、ゲルを分解し、修飾ナノシートを回収することに成功した。赤外吸収スペクトル測定をおこなうと、シリル化剤由来のSi-C変角振動(◇;1200 cm-1)、メチレン基のC-H伸縮振動(■;2853cm-1と2926cm-1)、メチル基のC-H伸縮振動(□; 2962cm-1)が見られており、シリル化が進行したことが確認された。また、高分子ゲル由来のピークは検出されず、鋳型として用いた高分子ゲルが問題なく除去できたことが分かった。これらによって、一連の合成を確認することが出来、完全剥離ナノシートにキネンシンと微小管を固定化するための準備が整った。
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