研究課題/領域番号 |
18K19145
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中田 栄司 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (70467827)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | ヘテロ多量体 / DNAナノ構造体 / DNA結合タンパク質 / 平衡制御 |
研究実績の概要 |
本研究では、光捕集アンテナタンパク質複合体(フィコビリソーム)の構成要素の一つでホモ三量体を構築することが知られているアロフィコシアニン(APC)を利用して、合目的にヘテロ三量体をつくりわけて、新規な光機能をもったAPCヘテロ三量体を構築することである。 そのための基本戦略としては、「異なる各単量体をナノ構造体の足場に配置してヘテロ三量体を形成させる。」と「ナノ構造体の設計によって様々なヘテロ三量体をつくりわける」ことが挙げられる。当該年度には、前半の目的達成のために、ナノ構造体上に異なる種類のタンパク質を配置するためのモジュール型アダプター戦略を拡張し、ヘテロ量体を構築することができるように展開した。これまでの戦略では、複数のタンパク質を配置するためには、異なるサイズのモジュール型アダプターを使い分ける必要があった。しかしながら、既存の方法ではアダプターサイズの違いによる空間配置の差異の影響を制御するのが困難となることが予想されていた。今回改良した戦略では、モジュール型アダプターの構成要素のうち、共有結合形成モジュールを同一とすることに成功したため、アダプターサイズをほぼ均一に揃えた上で複数種類のタンパク質を配置することができるようになった。これにより、DNAナノ構造体を「足場」として、異なる種類の単量体ユニットを選択的に配置することが可能となり、当該研究の目的遂行に向けて前進したと考えている。今後は、これらのモジュール型アダプターを融合したAPCを分子モデリングをおこないながら、アダプター融合APCの設計調整をおこない、後半の目的達成に向けたDNAナノ構造体の設計に関してもおこなっていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々が開発したモジュール型アダプターの問題点を改良し、複数のタンパク質を配置するための直交性を有するモジュール型アダプターの拡張をおこなうことに成功している(同一の共有結合型モジュールを有するモジュール型アダプターの開発)ことから順調に進展していると評した。一方で、アダプター融合APCの設計調製については前述のモジュール型アダプターの開発を優先しておこなう必要があったことから、当初の予定より多少の遅れはあるが、総じては順調に遂行できていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに改良したモジュール型アダプターの中から、直交性と分子サイズを考慮して選定したモジュール型アダプターを融合したAPCを設計・調製していく。設計に関しては、分子モデリングをおこないながら実際に大腸菌を宿主として調製し、その機能評価をおこないながら最適化をおこなっていく。また、モデリングの結果を反映した適したサイズのDNAナノ構造体を設計したものを原子間力顕微鏡(AFM)やゲル電気泳動等を駆使しながら最適化していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費として計上した予算について、昨年度内には計画していたが使用機会がなかったため、次年度の研究計画にあるモジュール型アダプターの設計・調製・評価に関して補助をする人件費として利用することを計画したい。
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