研究課題
パーキンソン病は、脳内のドパミン不足により生じる疾患の1つであり、高齢者では発症が増加する。しかし、対症療法としてドパミンを補うための薬しか存在せず、現在でも根治につながる治療薬は見つかっていない。このドパミンを放出するニューロンの分化を促すのが、ヒト核内受容体Nuclear receptor related 1 (Nurr1)である。申請者は、最近、核内受容体Nurr1の転写活性を変化させる化合物があることに気付いた。本研究課題では、将来的にはNurr1リガンドを用いた、Nurr1の活性制御によりドパミンニューロンを新生するという新規分子メカニズムに基づくパーキンソン病を根治するための治療薬開発に挑む。三年計画の最終年度となる本年度は、これまでにNurr1の転写活性を指標としてスクリーニングを実施して得られた化合物について、直接の結合を試験するための新たな実験系の構築を行った。Nurr1の転写が活性化、あるいは抑制される場面では、転写共役因子であるコアクチベータ、あるいはコリプレッサーが結合する。ここでは、Nurr1だけではなく、複数の核内受容体に適応可能な試験系の構築を目指し、Nurr1とエストロゲン受容体の両方の活性型に結合して転写活性型核内受容体の検出を可能とする試験系の構築を行った。まず、エストロゲン受容体のコアクチベータに由来するペプチド配列を鋳型とし、Nurr1にも結合できるペプチドを新たに設計合成した。得られたペプチドはNurr1に確かに結合し、このペプチドは試験系構築の母体ペプチドとして有用と考えられた。
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Peptide Science 2020
巻: - ページ: 123-124
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