研究課題
昨年度、発現・精製に成功したスルホキノボシダーゼを用い、ニトロベンジル型発色基質を合成してその活性を評価したところ、本研究に利用可能な性能を有することが明らかとなった。そこで、薬物のモデルとして蛍光基を導入した基質を設計、合成した。しかし、これは基質として全く反応しなかった。その原因として、酵素の活性サイトの素材する基質結合ポケットが小さく、かさばった蛍光基が立体的にサイトに挿入できないことが予想された。これは薬物全般への適用にも問題である。そこで、立体的な反発を緩和するため、蛍光基とスルホキノボースの間にリンカーを介在させ、酵素によりスルホキノボースが切除された際にリンカー部分も自発的に分解切除可能な分子構造を考案し、これを合成したところ、非常に良好に基質として働くことを見出した。この分子設計では、あらゆる薬剤に適用可能であり、本概念を一般性をもって確立することに成功した。さらに、この基質設計法を利用すると、リンカー部分に水溶性基を導入することにより、糖部分の水溶性が懸念材料である、ラムノシダーゼなどの酵素にも適用できるため有望な世略であると期待できる。また、新たに有望なヒト直交型酵素を探索により見出した。本酵素は、現在知財出願準備中であるため名称は記せないが、発色基質を合成して、その酵素活性を評価したところ、非常に有望な酵素であることが判明した。このように期間を延長することにより、本研究における戦略を具体化できる分子設計を確立することに成功した。
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Analytical Chemistry
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