細胞膜には脂質ラフトと呼ばれる微小領域が存在するが、その生理的意義は必ずしも明確になっていない。一方、酵素の阻害剤は、薬剤としてばかりでなく酵素機能解明のための分子プローブとしても利用されてきた。そこで、ラフト形成を阻害する「ラフト阻害剤」を見いだせれば、ラフトの機能や性質を探索する分子プローブとして利用できる。本研究では、ラフトもしくは非ラフトに選択的に集積する蛍光脂質を利用し、それらの間のエネルギー移動を観察することで、「ラフト阻害剤」のアッセイ法の開発に成功した。次に、このアッセイ法を人工細胞膜および生体膜で可能とし、ラフト阻害剤の新たな候補化合物の探索に成功した。
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