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2018 年度 実施状況報告書

芳香環の崩壊反応を鍵とした天然関連化合物の合成

研究課題

研究課題/領域番号 18K19150
研究機関京都府立大学

研究代表者

椿 一典  京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (50303897)

研究分担者 今吉 亜由美  京都府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (20786462)
研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2020-03-31
キーワード脱芳香化 / Blespirol / ブレスピロール / 異常反応 / ナフタレン環
研究実績の概要

芳香族化合物は一般に芳香族安定化を有している。このため通常の芳香環上での反応は、いったん芳香族性を失う反応が起こった場合でも、芳香族性の回復を駆動力にした反応が進行し、形式的には置換反応の生成物を与える場合が多い。
このような背景のもと、我々は蛍光色素の開発研究の最中に、芳香環がいとも簡単に崩壊する現象に結構な頻度で出くわした。この芳香環の崩壊を伴う異常反応の中身を理解できれば、崩壊反応を積極的に利用した効率的な化学変換法の開発が達成できると考えられる。
今回、ナフタレン環の崩壊を伴う反応に焦点を置き、(1)ジベンゾキサントン化合物と有機金属試薬とのマイケル付加型の反応、(2)ビナフトール類からのスピロ骨格への転位反応とこの反応を利用した二種の天然物(ブレスピロールおよびラクナンソスピロン)の全合成研究を展開した。(1)の反応では異常マイケル反応が進行する条件や適用範囲を確定することができた。さらに計算化学の手法を用いてなぜその位置でマイケル型の反応が起こるのかについても、おおむね理解することができた。(2)については、ブレスピロールの全合成研究を中心に行った。その結果、フェナントレン環とナフタレン環を有する化合物からの転位反応では、想定していたナフタレン環が崩壊するのではなく、フェナントレン環が崩壊することが明らかになった。現在、この崩壊する環を逆にするところに重点を置き、研究を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

上記のように、研究は順調に進展しているが、研究期間中に核磁気共鳴装置の故障と新規購入が発生した。この間、他大学に測定に行くなどして対応したが、当初の想定よりはやや遅れてしまったのは、否めない。現在は新しいマシンが導入され遅れを挽回すべく研究を行っている。
具体的な研究内容の進展について記す。(1)のジベンゾキサントン化合物と有機金属試薬とのマイケル付加型の反応では、ほぼ反応の詳細を解明することができ、論文作成中である。(2)については、崩壊する芳香環の制御を達成すべく、フェナントレン環を転位終了後に構築する手法で研究を行っている。

今後の研究の推進方策

核磁気共鳴装置も新調され、ストレスなく研究が進んでいる。
(1)については、新たな基質でもこのユニークな反応が進行することを見出している。研究の発展形として、新たな基質を用いた反応の詳細を明らかにする。
(2)については、現在取り組んでいる手法を推し進めて、ブレスピロールの全合成を達成したい。さらにもう一つの類似骨格であるラクナンソスピロンの全合成研究も取り組んでおり、こちらも全合成の達成を目指す。

次年度使用額が生じた理由

前述の通り、期間中に核磁気共鳴装置の故障と新調が発生したため、研究の進展がやや遅れた。それに伴い予定していた試薬の購入等が後ろ倒しになった。今年度は核磁気共鳴装置も順調に稼働し、ストレスなく実験ができる環境にある。若干の遅れを取り戻すべく研究を進めたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] マイケル付加型反応を利用したナフタレン母核への位置選択的修飾反応の開発2019

    • 著者名/発表者名
      ○佐々木宏隆、今吉亜由美、椿一典
    • 学会等名
      日本薬学会 第139年会
  • [学会発表] 新規転位反応を用いた Lachnanthospirone の全合成研究2018

    • 著者名/発表者名
      ○岡村樹杏、香月尚樹、今吉亜由美、椿一典
    • 学会等名
      第8回 4大学連携研究フォーラム

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公開日: 2019-12-27  

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