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2018 年度 実施状況報告書

触媒反応を駆使した生物活性シード創出への挑戦

研究課題

研究課題/領域番号 18K19156
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

五月女 宜裕  国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (50431888)

研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2021-03-31
キーワード触媒 / 複素環化合物 / 有機合成化学 / ヘテロ原子 / 生物活性
研究実績の概要

本研究の目的は、分野融合型-有機化学を起点に、新規骨格を有する生物活性シードを創出することである。特に、不斉点や四置換炭素を内包した複素環化合物の合成法の開拓と生物活性評価に焦点を当てる。複素環化合物は承認薬の59%を占めるが (J. Med. Chem. 2014, 57, 10257)、連続不斉点や四置換炭素を内包した複素環化合物はその合成の難しさから十分な活性評価がなされていない。そこでこれまで申請者の研究グループが蓄積してきた知見を基盤として、『1. 独自の触媒反応による小規模化合物ライブラリーの構築 』、『2. 生物活性評価』を推進する。

まず、これまでに開発した触媒反応により供給される複素環化合物群をライブラリー化した (Nat. Commun. 2017, 8 , 14875; J. Am. Chem. Soc. 2017, 139, 8661; Heterocycles, 2017, 95, 1030; Chem. Commun. 2016, 52, 14903)。すなわち 、これらの化合物ライブラリーについてストック溶液の調整を行った。また、既に確立している触媒反応については電子及び立体構造に着眼した独自の基質展開・多官能基化を行うとともに、新規触媒反応の開発にも取りくみ化合物群が構築するケミカルスペースを拡張することができた。更に、得られた新規化合物については、各種スペクトル解析、DFT計算により、その固体及び溶液中での三次元構造についての知見も得ることができた。これらの一部の化合物については、理研の所有するNPDepoに寄託することで、これらの新規化合物群に潜在的に秘められた様々な生物活性の検証を進めている。またスループットは高くないもののタンパク質メチル化反応のプロテオーム解析についても、阻害活性を評価するための独自の系を確立することもできた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまで異なる研究テーマとして断片化されていた反応開発研究とケミカルバイオロジー研究とを有機的に結びつけるための研究体制を構築させることができた。また、独自の化合物群が構築するケミカルスペースの理解と拡張についても順調な進展が得られたため。

今後の研究の推進方策

生成物の多官能基化に取り組む過程において、多様な反応基質を合成した。これらは生成物とは異なる分子骨格、電子および立体構造を有する。そこで、これらもライブラリー化することでさらにケミカルスペースを拡張する。また、現在取り組んでいる活性評価において得られたヒット化合物については、詳細な構造活性相関研究を検討する。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画を効率的・効果的に進めた結果、直接経費を節約しながら、化合物ライブラリー化については順調に進行させることができた。これらの化合物の詳細な活性評価を行うことを目的として、次年度使用額を計上した。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] Unveiling epidithiodiketopiperazine as a non-histone arginine methyltransferase inhibitor by chemical protein methylome analyses2018

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro Sohtome, Tadahiro Shimazu, Joaquin Barjau, Shinya Fujishiro, Mai Akakabe, Naoki Terayama, Kosuke Dodo, Akihiro Ito, Minoru Yoshida, Yoichi Shinkai, Mikiko Sodeoka
    • 雑誌名

      Chem. Commun.

      巻: 54 ページ: 9202-9205

    • DOI

      10.1039/C8CC03907K

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Development of Chaetocin and S-Adenosylmethionine Analogues as Tools for Studying Protein Methylation2018

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro Sohtome, Mikiko Sodeoka
    • 雑誌名

      Chem. Rec.

      巻: 18 ページ: 1660-1671

    • DOI

      10.1002/tcr.201800118

    • 査読あり
  • [学会発表] 安定炭素ラジカル種を用いた連続四置換炭素の構築法の開発2019

    • 著者名/発表者名
      大西理華子、菅原真純、赤壁麻衣、五月女宜裕、越野広雪、袖岡幹子
    • 学会等名
      日本化学会第99回春季年会
  • [学会発表] alpha-ケトエステルエノレートとC-シアノニトロンとの触媒的不斉[3+2]環化付加型反応2019

    • 著者名/発表者名
      江澤哲也、足立雅弥、赤壁麻依、五月女宜裕、袖岡幹子
    • 学会等名
      日本化学会第99回春季年会
  • [学会発表] 金属中心キラリティー内包型遷移金属錯体を用いる触媒的不斉反応2019

    • 著者名/発表者名
      五月女宜裕
    • 学会等名
      錯体化学若手の会・関東支部前期勉強会2018
    • 招待講演
  • [学会発表] 酸素を用いる酸化的炭素-炭素結合形成反応2019

    • 著者名/発表者名
      五月女宜裕
    • 学会等名
      新領域研究グループ「分子空間化学」シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 安定炭素ラジカル種を用いる連続四置換炭素の構築及びスペクトル解析2018

    • 著者名/発表者名
      大西理華子、菅原真純、赤壁麻衣、五月女宜裕、越野広雪、袖岡幹子
    • 学会等名
      第8回CSJ化学フェスタ2018
  • [図書] "Design of the chiral environment for catalytic asymmetric acid-base catalysis" in Designed Molecular Space in Material Science and Catalysis2018

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro Sohtome, Kazuo Nagasawa, Mikiko Sodeoka
    • 総ページ数
      262
    • 出版者
      Springer
    • ISBN
      978-981-13-1256-4
  • [備考] 理研プレスリリース

    • URL

      http://www.riken.jp/pr/press/2018/20180806_2/

  • [備考] Chem-Station スポットライトリサーチ

    • URL

      https://www.chem-station.com/blog/2018/09/methylation.html

  • [備考] Cover Picture in Chem. Rec.

    • URL

      https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/tcr.201881201

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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