研究課題/領域番号 |
18K19156
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
五月女 宜裕 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (50431888)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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キーワード | 含窒素化合物 / 複素環化合物 / 有機合成化学 / 生物活性 / プロテオミクス |
研究実績の概要 |
本研究では、独自の合成化学・生命化学を有機的に結びつけ、あたらしい生物活性分子シードを創出することを目指している。1. 独自の小規模化合物ライブラリーの構築 、2. 生物活性評価、3. 構造展開を3本の柱として、これらをフィードバックさせる戦略で研究を推進してきた。特に、高い酸化段階、連続不斉点、四級炭素等、従来の合成手法では構築することが困難な特徴を有するライブラリーの構築と評価に力点がある。 昨年度までに、ランダムスクリーニングを起点として、感染症治療薬として有望なシード化合物Iの創出に成功している。本年度は、1) 本シード化合物Iのさらなる詳細な構造活性相関研究、さらには2) ライブラリーの拡張に基づく、新規生物活性分子の創出を目指した。また3) ProSeAMを用いるケミカルプロテオミクスを用いて、独自に合成したヌクレオシド誘導体 (標的志向型化合物) の活性評価も行った。以下に得られた研究成果を記載する。 進展1) シード化合物Iは、3つのフラグメントに分割し、それぞれのユニットについてより詳細な構造活性相関研究を行った。活性を発現するために重要なファーマコフォアに関してより体系的な知見を蓄積させることができた。 進展2) これまで特に複素環化合物に焦点を当ててきた。一方、本年度は化合物のスキャフォードを更に展開させ、これらが構築できるケミカルスペースの拡張に努めた。ランダムスクリーニングで評価することで、これまで検討してきたクラスとは異なる感染症治療薬として有望な有するシード化合物IIを創出することに成功した。 進展3) ProSeAMはタンパク質メチル化酵素依存的にタンパク質をラベル化するプローブである。このタンパク質ラベル化を指標とするケミカルプロテオミクスにおいて、独自に合成・設計したヌクレオシド類の活性を評価した結果、ユニークな阻害活性特性が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンプルの寄託によるランダムクリーニングに加えて、独自の活性評価系を立ち上げることができた。また、これにより独自の化合物ライブラリーの中から、新規シード化合物の創出に成功することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
これらは、我々が構築した化合物ライブラリーは、高い酸化段階、連続不斉点、四級炭素等の特徴を有している。今後も合成化学を起点として、ユニークな分子を創出する研究計画を継続し、生物活性シードを探索することに力点を置く。また見出したシード化合物については、構造活性相関研究を進め、最適化に向けた基礎的知見を蓄積させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画を効率的・効果的に進めた結果、直接経費を節約しながら、順調に研究を進展させることができた。3つの異なるクラスの新規シード化合物の創出に成功した。これらについて、論文を投稿するための知見を詳細に集めるために、次年度使用額が生じた。
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