前年度と同様に回腸部腸間膜静脈カテーテル留置ラットならびに門脈カテーテル留置ラットを用い、食後継時的にそれぞれのカテーテルより血液を採取し、血漿中のグルコース濃度、消化管ホルモン濃度を測定した。 絶食後に試験飼料を自発的に摂取させる試験系は最も生理的であるが、試験食を摂取する時間(meal time)に個体差が生じることと、一定時間内(30分)に完食できない個体があり、取得できるデータに限りがあったため、ここでは水に懸濁した飼料を強制経口投与し、個体間の投与量、時間を同一とする試験系とした。タンパク質を含有する普通食、タンパク質を除いてデキストリンに置換した無タンパク食を脱イオン水に懸濁し、3 g/kgにてフィーディングチューブを用いて強制経口投与した。 その結果、門脈血、回腸部腸間膜静脈血おいても、両食事負荷15分後にピーク値となり、その後徐々に基礎レベルに戻った。しかし、30分以降の値は門脈血の方が回腸部腸間膜静脈血よりも高く推移し、懸濁液で強制投与した場合でも、上部消化管での吸収が優勢であることが示された。一方で15分値においては部位間の差がなかったことから、投与直後において回腸部に一部の投与飼料が到達し、空腸部と同様に消化吸収されることが考えられた。GLP-1については、無タンパク食の方が高い分泌応答を誘導する傾向が見られた。このことから、懸濁液として投与した食事に対するGLP-1分泌応答においては、食事に含まれる糖質の寄与が大きいものと考えられた。
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