研究課題/領域番号 |
18K19164
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
川合 真紀 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (10332595)
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研究分担者 |
長野 稔 立命館大学, 生命科学部, 助教 (80598251)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | マイクロドメイン |
研究実績の概要 |
本研究は、植物の脂質をターゲットとしたマイクロドメイン可視化プローブを開発することを目的としている。マイクロドメインは細胞膜上に点在する脂質・タンパク質集積ドメインである。これまでに植物特有の脂質で形成される植物マイクロドメインを可視化することができなかったため、植物免疫を始めとする様々な生理学的機能におけるマイクロドメインの役割の解明が遅れていた。本研究では、植物マイクロドメインを形成する主要脂質であるグリコシルイノシトールホスホセラミド(GIPC)に結合する毒性タンパク質NLPを改変することにより、植物マイクロドメイン特異的可視化プローブの開発を試みている。 本年度は毒性を持たずGIPCと結合する改変NLPを作製するために、まずNLPのN末端、またはC末端を欠損させた断片タンパク質6種類を作製した。大腸菌を用いてそれら断片タンパク質を大量発現させたが、いずれのタンパク質も可溶化しなかったため、毒性解析やGIPCとの結合解析を行うことができなかった。次に、NLPに変異を入れたタンパク質を作製し、大腸菌で大量発現させ、可溶化タンパク質を精製した。タバコの葉を用いた毒性解析を行った結果、変異NLPは野生型NLPと異なり、毒性を有さないことを見出した。また、GIPCブロット解析を行ったところ、この変異NLPは野生型NLPと同等のGIPC結合能を維持していた。したがって、毒性を持たないGIPC結合タンパク質の作製に成功した。さらに、変異NLPにGFPを融合させたタンパク質を作製し、大腸菌で大量発現させ、分解することなく可溶化することを確認した。この結果は、変異NLPタンパク質が植物マイクロドメイン特異的可視化プローブとして利用できる可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した断片NLPタンパク質の作製は、可溶性タンパク質を得られなかったため、失敗した。しかし、代わりに変異を導入したNLPタンパク質を作製することにより、毒性を持たないGIPC結合タンパク質の作製に成功した。また、この変異NLPタンパク質とGFPを融合させたタンパク質の大量精製、及び可溶化にも成功している。したがって、概ね計画通りに進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度作製した、変異NLPタンパク質とGFPの融合タンパク質がGIPCとの結合能を維持しているか調べるため、GIPCブロット解析を行う。また、タバコやシロイヌナズナの葉を用いた毒性解析を行う。次に、実際にマイクロドメイン可視化プローブとして利用できるかどうか調べるために、シロイヌナズナ植物体に対して精製タンパク質を処理し、細胞膜、及びマイクロドメインを可視化できるかについて、共焦点レーザー顕微鏡、及び全反射照明蛍光顕微鏡を用いて、観察を行う。この際、GIPC合成不全変異体であるシロイヌナズナgmt1変異体も用いることにより、植物体においてもGIPC特異的に結合することを確認する。以上の解析により、GFPを融合した変異NLPを植物マイクロドメイン特異的可視化プローブとして確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子発現量を調べる実験用の試薬の購入時期を遅らせたため、その分が次年度に持ち越しとなった。当初予定の予算とあわせて、使用する予定となっている。
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