研究課題
本研究の目的は、栄養塩飢餓と強光ストレスで誘導される超オイル細胞を用いて、ω3に代表される機能性脂肪酸やカロテノイドなどの機能性物質を蓄積した細胞工場(クロレラ・ファクトリー)を作り出すことにある。超オイル細胞の代謝メカニズムも研究対象であるが、本年度は特に実用化を意識して細胞工場に適した株の選別を実施する。トレボウクシア藻綱に狭義の緑藻を加え、分子系統解析を実施することで、種や株の系統関係を理解しながら、独立栄養条件だけでなく従属栄養条件や混合栄養条件でも長鎖不飽和脂肪酸やカロテノイドという視点でスクリーニングを実施する。先行収集した27種54株に関しては、パラクロレラのように偶数系の超長鎖不飽和脂肪酸に加え、奇数系の超長鎖不飽和脂肪酸をもつ株や種とカロテノイドを文献も含め調査する。ただ、超長鎖不飽和脂肪酸分析には時間が掛かるので、まずは含有オイル量のみを測定した。27種54株を対象とした。特に従属栄養培養下でのバイオマス生産性とオイル含量に注目した。また、新たにカロテノイドについては従属栄養下で色変わりするような株を見つけ出しHPLCによる分析対象とした。これによって従属栄養培養下で「七色クロレラ」も製造できることがわかった。従属栄養培養であれば大規模培養が容易であるしLCAも独立栄養培養と比べて遜色ない。問題はオイル含有率である。一般にオイルは窒素やリンあるいはイオウなどが不足するときに蓄積されるので、栄養が豊富な従属栄養培養下でオイルを蓄積するかが疑問であった。従属栄養培養下で増速がよかったのはMuriella zofingiensis、Graesiella emersonii、Scenedesmus acutusで、乾燥重量(g/L)はそれぞれ15.5、13.6、9.5であった。中でもS. acutusのオイル含量(%)は50.4で全27種中最高の値であった。
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Cytologia
巻: 85 ページ: 178-185
10.1508/cytologia.85.178
Genes
巻: 11 ページ: 944
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