研究課題/領域番号 |
18K19171
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
廣田 毅 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任准教授 (50372412)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 概日時計 / ケミカルバイオロジー / 化合物 / 振幅 |
研究実績の概要 |
概日時計は分子から個体の各階層を時間・空間的に統合して多様な生理現象の日内リズムを生み出す。申請者はケミカルバイオロジーの手法を応用し、概日リズムの周期を変化させる新規化合物を発見して鍵となる制御機構を明らかにしてきた。一方、核内受容体REV-ERBαの生化学的な解析から、この因子のリン酸化を介した分解調節が概日リズムの振幅に影響することを見出した。振幅は肥満や老化によって減少し、生理機能の調節における重要性が知られているものの、分子レベルの理解が遅れている。本研究では振幅を増加させる新規化合物を見出し、標的タンパク質の同定と解析から振幅制御の理解に突破口を開くとともに、肥満や老化に応用する起点とする。本年度はまず、時計遺伝子Bmal1のプロモーターにルシフェラーゼを連結したレポーターをもつヒトU2OS細胞を用いて機能未知化合物をスクリーニングし、振幅を顕著に増加させるヒット化合物を見出した。得られた化合物についてBmal1およびPer2の2種類のレポーター細胞を用いて効果を確認し、両者において濃度依存的な効果を示す化合物を二次ヒットとした。さらにin vitroルシフェラーゼアッセイを行い、ルシフェラーゼを直接的に活性化する化合物を除外した。続いて核内受容体のROR介した転写活性化に与える影響を解析し、作用しないものに絞り込んだ。作用の最も強い化合物について、アフィニティープローブの作製を目指し、誘導体が振幅に与える影響を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り振幅を増加させる化合物を見出すことに成功し、その作用解析が順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ヒット化合物の作用解析を進め、標的タンパク質を同定することにより、振幅制御のメカニズムを解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存の機器などを最大限に活用した結果、当初の予定よりも支出を抑えることができた。この分を次年度の消耗品費にあて、効率的に研究を進めたい。
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