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2018 年度 実施状況報告書

光合成の喪失と従属栄養の促進:長期継代培養による栄養性の進化

研究課題

研究課題/領域番号 18K19173
研究機関名古屋大学

研究代表者

藤田 祐一  名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (80222264)

研究分担者 井原 邦夫  名古屋大学, 遺伝子実験施設, 准教授 (90223297)
研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2021-03-31
キーワードシアノバクテリア / 光合成 / 適応進化 / 従属栄養 / ゲノム
研究実績の概要

Leptolyngbya boryanaは、完全暗所でも従属栄養的に生育が可能なシアノバクテリアである。L. boryana野生型から暗所従属栄養能が向上したvariantとしてdg5を単離しこれまでクロロフィル生合成などの研究に供してきた。本研究では、まずdg5を暗所で短期間(9日間)培養することで、さらに従属栄養能が高いコロニーを6個単離し、その後10~14日毎に53回にわたり暗所従属栄養条件で継代培養を続けた。その結果、6株ともすべて光合成的に生育できず、1株は紫色の色素を漏出しコロニーの形態が野生型と明らかに異なっていた。これらの6株のゲノムリシーケンスの結果、4株で共通した遺伝子に変異が見つかり、色素漏出を示した1株ではフィコビリタンパク質リアーゼをコードする遺伝子cpcS-Iを含む約6 kbの欠失が認められた。この株のフィコビリンタンパク質含量は野生型の13%程度まで減少しており、この株の形質の主な原因はcpcS-Iの欠損であると推察されるが、この仮説を検証するために、この6-kb断片にコードされる各遺伝子についてdg5から改めて単独欠損株を単離し、各株が光合成的生育能を喪失した原因遺伝子の特定を進めている。さらに、野生型を暗所で比較的長期期間(40日間)培養することで、従属栄養能が向上したコロニーを23個単離し、暗所での継続培養を数ヶ月続けた後、光合成的生育を確認した。その結果、12株が光合成生育能を失っており、色調も極めて青い色を呈する株やコロニーの形状が明らかに変化した株など多様な形態を示した。これらの株のゲノムリシーケンスを進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本シアノバクテリアをもちいて光合成生育能を失った株のゲノムリシーケンスによりすでに複数の原因となる遺伝子を特定している。

今後の研究の推進方策

今年度は、暗所従属栄養条件に適応した変異株の収集を進める。特に、短期間の暗所培養により暗所適応株単離により効率的に光合成能を失った株を単離する系が確立できたので、この系を利用して変異株の収集とそれらのゲノムリシーケンス例を増やし、光合成生育能喪失の原因によって変異カテゴリーの分類を進める。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] シアノバクテリアLeptolyngbya boryanaにおける暗所従属栄養生育による光合成生育能の喪失2019

    • 著者名/発表者名
      肥田真太朗、山本治樹、上坂一馬、戸松千映、井原邦夫、藤田祐一
    • 学会等名
      第60回日本植物生理学会年会

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公開日: 2019-12-27  

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