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2018 年度 実施状況報告書

遺伝子転写因子CRTC1欠損による雌性マウスの肥満誘導機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K19174
研究機関京都大学

研究代表者

松村 成暢  京都大学, 農学研究科, 助教 (70467413)

研究分担者 佐々木 勉  大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20534879)
研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2021-03-31
キーワード高脂肪食 / 肥満 / 転写因子
研究実績の概要

CRTC1欠損メスマウスに高脂肪食を与え体重変化を観察した。野生型マウスと比較してCRTC1欠損メスマウスは顕著な体重増加を示した。CRTC1欠損オスマウスも同様に高脂肪食により顕著な体重増加を示したが一ヶ月後には野生型マウスとの体重差が消失した。間接熱量測定法によりエネルギー代謝を測定したところCRTC1欠損メスマウスはエネルギー消費が減少していることが明らかとなった。この時、自発行動量に変化はみられなかった。
摂餌量を計測したところCRTC1欠損メスマウスは1日の摂餌量が大きく増加していることが明らかとなった。そこで脳内の摂食調節に関わる遺伝子をリアルタイムPCRによるmRNA量定量により検討した。その結果、摂食促進に関わるAgRP (agouti related peptide)のmRNAがCRTC1欠損メスマウスの視床下部で増加していることが明らかとなった。一方で、摂食抑制に関わるPOMC(proopiomelanocortin)やCART(cocaine amphetamine regulated transcript)、摂食促進に関わるNPY (neuropeptide Y)に変化はみられかった。
以上の結果より、CRTC1欠損メスマウスは高脂肪食飼育下で野生型と比較してAgRP発現量が高くなることで摂餌量が増加し、且つ、エネルギー消費が低下し、その結果として肥満が誘導されることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画はCRTC1欠損メスマウスが高脂肪食摂取によりどのような表現系を示すのかを明らかにすることであった。今年度の研究によりCRTC1欠損マウスの代謝や行動、臓器の変化を観察することにより、大まかな全体像が把握でき、当初の研究計画は概ね達成できたため。
また新たな知見としてCRTC1欠損メスマウスが高脂肪食飼育下で肥満になるメカニズムの一つとしてCRTC1が摂食促進作用のある神経ペプチドの合成を制御しているということが明らかとなったため。

今後の研究の推進方策

CRTC1欠損マウス脳内では摂食促進作用のあるAgRPの発現が増加することが明らかとなったが、末梢組織の代謝にどのような変化が起こっているのか不明である。
そこでCRTC1欠損マウスに高脂肪食を与えエネルギー代謝に大きく寄与する臓器である筋肉、脂肪組織、肝臓の遺伝子変化を検討する。さらに女性ホルモンの産生に関わる臓器である下垂体、視床下部および卵巣の遺伝子発現変化を検討する。
ここで遺伝に発現に変化がみられた臓器で何が起こっているのかを代謝産物の側面からも検討を行う。また、CRTC1を臓器特異的に欠損するマウスの作成にとりかかる。

次年度使用額が生じた理由

想定外の結果が得られ、予定していた組織サンプルの解析ができなかったため次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額は組織サンプルの解析に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 国際共同研究 (1件)

  • [国際共同研究] Salk Institute(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Salk Institute

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公開日: 2019-12-27  

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