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2018 年度 実施状況報告書

合成化学と遺伝子工学を融合した抗体様タンパク質の機能改変

研究課題

研究課題/領域番号 18K19182
研究機関山口大学

研究代表者

西形 孝司  山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (90584227)

研究分担者 星田 尚司  山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (00314823)
研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2021-03-31
キーワードタンパク / アミノ酸 / tRNA
研究実績の概要

有機合成化学と遺伝子工学的アプローチの2通りから本年度の研究について報告する。
有機合成化学:非天然アミノ酸の合成法は、以前に銅触媒を大量に用いることで達成していた。しかし、アミノ酸からの金属除去プロセスが今後問題になると考えられたため、本年は、金属触媒非存在下での非天然アミノ酸合成プロセスの確認を行った。αブロモカルボニル化合物を炭酸セシウム存在下、及び銅触媒非存在下にアミンとの反応を試みたところ、アセトニトリル中室温にて対応するアミノ化生成物を確認することができた。アニリンやアルキルアミン類が反応に用いることが可能であるが、アンモニアを直接的に使用するには至っていない。現在のところ反応機構は分かっていないが、単純なSN1や2反応で進行しておらず何らかの電子移動プロセスが反応に関わっていると考えられる。また、アミンの代わりにアルコール、特に、通常では反応性が低いtBuOHを用いたところ、対応するエーテル化体が得られた。どの反応も室温で進行する。反応機構を明らかにし、合成した非天然アミノ酸のtRNAへの組み込みを目指す。
遺伝子工学:非天然アミノ酸を導入するモデルタンパク質の抗体様タンパク質Nanobodyから,緑色蛍光タンパク質GFPに結合する遺伝子配列を選び,酵母で遺伝子全合成し,発現させた。この遺伝子に種々変異を導入した時のGFPとの結合能の変化を観察した。その結果,結合に重要なアミノ酸残基を特定することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

有機合成化学的には、アミノ酸を金属触媒なしで合成できるプロセスの開発を見出すことができた。銅触媒がアミノ酸中に残ると、続くtRNAへの合成したアミノ酸の導入過程に問題を引き起こすと考えられるためである。一方で、遺伝子工学的研究は次の知見を得た。 GFP結合性Nanobodyを可視化するために赤色蛍光タンパク質RFPと融合させた。この融合タンパク質は細胞質に均一に存在したことから,GFPをを局在化させることで,NanobodyとGFPの結合を観察できるようにした。各アミノ酸残基をアラニンに変えたところ,I31, T57, G97, P104で結合が見られなくなったことから,これらが結合に重要なアミノ酸残基と推定され,非天然アミノ酸に変換するターゲット位置となる。
どちらも需要な成果であるが、ターゲットとなるアミノ酸を効率的にtRNAに導入する過程が当初考えた以上に困難であることが分かった。そのため、上記のように判断した。

今後の研究の推進方策

有機合成化学:金属触媒非存在下でアミノ酸を合成可能な反応を開発すること、そして、tRNAへの組み込み検討を行うことを今後、検討予定である。そのために、2018年度に発見した、電子反応系プロセスを反応機構を含めて確認することで、新たな知見獲得を目指す。合成を目指す抗体タンパクへの金属残渣を防ぐためにも、本問題の解決は喫緊である。
遺伝子工学:非天然アミノ酸を導入するための無細胞タンパク質合成系でのNanobodyの合成を行う。別のタンパク質を対象として無細胞系でのタンパク質合成を試みたが,十分な収量が得られなかった。合成系の最適化を図り,無細胞系でのNanobody合成を行う。tRNAに非天然アミノ酸を導入できても、無細胞系でタンパクを構築できなければならないため、本検討を通して、確実なプロセスの確認を試みる。

次年度使用額が生じた理由

アミノ酸合成に関して当初研究計画にはない成果が得られた。そのため、次年度に繰り越して研究を行うこととした。有機合成用試薬や学会発表旅費として使用予定。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] The synthetic protocol for α-bromocarbonyl compounds via brominations2019

    • 著者名/発表者名
      Murata Yumi、Takeuchi Kentaro、Nishikata Takashi
    • 雑誌名

      Tetrahedron

      巻: 75 ページ: 2726-2736

    • DOI

      10.1016/j.tet.2019.03.048

    • 査読あり
  • [学会発表] 2-ブロモカルボキシアミドとアルコール類の反応による立体的に混み入ったエーテル類の合成とその反応機構解析2019

    • 著者名/発表者名
      竹内 健太郎・下拂 優介・西形 孝司
    • 学会等名
      日本化学会春季年会
  • [学会発表] 抗体様分子の酵母細胞内における抗原抗体反応解析系の構築2018

    • 著者名/発表者名
      幸崎新悟,星田尚司,赤田倫治
    • 学会等名
      日本農芸化学会中四国支部第51回講演会

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公開日: 2019-12-27  

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